日本のスポーツ界を羨む中国

 なぜ日本からは、大谷翔平や久保建英や羽生結弦が出るのに、中国からは出ないのか? なぜ日本のスポーツ界は、サッカーもバスケットも頗る進歩していくのに、中国はむしろ「退歩」していくのか? なぜ2月24日の世界卓球団体戦で、「絶対王者」のはずの中国女子が、決勝で日本に追い詰められたのか?(中国は薄氷の勝利を挙げたが、敗者の日本選手たちの方が笑顔だった)

世界卓球で中国に敗れた後、銀メダルを下げて笑顔で自撮りする日本女子チーム(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 こうしたことに、中国のスポーツ界やファンたちのストレスが溜まっているのだ。

 ロシアは国威発揚のため、金メダルを量産しようとして、ドーピングに走った。中国は薬物はやらないが、「新時代の中国の特色ある社会主義思想」の教育を徹底させている。そこには「共同富裕」も含まれているから、高額年俸のスポーツ選手などは、共産党当局の批判の対象となる。清く貧しく美しく、「共産党の栄光」の一部としてあることが、国家代表級のスポーツ選手には求められている。

 ともあれ大谷選手が、中国でスポーツの在り方を巡る論争にも飛び火したとしたら、やはり別な意味で「偉大な選手」である。

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