2023年9月、ロシアの極東アムール州にあるボストーチヌイ宇宙基地にてプーチン大統領と握手する金正恩総書記(写真:ロイター/アフロ)

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の「5月9日モスクワ訪問」は実現するのか?

 この日、モスクワの赤の広場では、「対ナチス・ドイツ戦勝80周年記念パレード」が盛大に挙行される予定だ。第2次世界大戦で、世界最大約2700万人の死者を出したソ連(現・ロシア)は、毎年の5月9日に、勝利を祝う習慣がある。

今回は「戦勝80周年」の節目

 特に節目の年には、世界の首脳らを招待する。2014年にロシアがウクライナのクリミア半島に侵攻する前の節目の年、すなわち2005年の戦勝60周年の際も、主催者はウラジーミル・プーチン大統領だった。

 その時、プーチン大統領の招待に応じた世界のVIPの面々はすごかった。アメリカのジョージ・W・ブッシュJr.大統領を始め、日本の小泉純一郎首相、中国の胡錦濤(こ・きんとう)主席、フランスのジャック・シラク大統領、ドイツのゲアハルト・シュレーダー首相、イタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ首相、韓国の廬武鉉(ノ・ムヒョン)大統領……。

 それが10年後の2015年の戦勝70周年になると、前年にロシア軍によるクリミア侵攻があったため、参加者はぐっとレベルダウンした。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長、中国の習近平主席、カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領、アゼルバイジャンのイリハム・アリエフ大統領、南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領、キルギスのアズマズベク・アタムバエフ大統領……。特に習主席は、プーチン大統領の隣席に、中国人民解放軍少将の肩書きもある彭麗媛(ほう・れいえん)夫人とともに収まった。

 今回の戦勝80周年は、ウクライナ戦争の真っただ中で行われるが、10年前に引き続き、習近平主席の参加が決まっている。隣国の友好国ベラルーシの「ヨーロッパ最後の独裁者」ことアレクサンドル・ルカシェンコ大統領も馳せ参じるだろう。一方で、西側諸国の首脳は、当然ながら誰も行かない。

昨年5月9日の戦勝記念軍事パレードに出席したプーチン大統領の様子(写真:Sputnik/共同通信イメージズ)
こちらは2010年5月9日の軍事パレードの時の一枚。左からロシアのメドベージェフ大統領、中国の胡錦涛主席、ドイツのメルケル首相、そして当時は首相だったプーチン氏(写真:ロイター/アフロ)

 だがここへ来て、「もう一人のVIP」の参加が、にわかに注目されている。それが金正恩委員長だ。