ヨーロッパ最大の安全保障イベント「ミュンヘン安全保障会議」が、2月14日から16日まで開かれたが、今年はとりわけ注目された。1月20日に発足した米ドナルド・トランプ政権が、ウクライナ戦争とイスラエル・ハマス紛争を解決に導こうと本腰を上げたからだ。
米国と欧州各国とが火花を散らす中、中国が展開する積極外交
アメリカは、トランプ大統領こそ参加しなかったものの、J.D.バンス副大統領、マルコ・ルビオ国務長官、ウクライナ・ロシア問題担当のキース・ケロッグ特使らを送り込んだ。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領やEUのウルズラ・フォンデアライエン委員長、NATO(北大西洋条約機構)のマルク・ルッテ事務総長、イスラエルのギデオン・サアル外相、それに23日にドイツ総選挙を控えたホスト役のオラフ・ショルツ首相らも一同に会した。日本からは岩屋毅外相が参加した。
この国際会議を受けて、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が17日に、英仏独伊などの緊急首脳会談を招集、事態は急展開している。
そんな中、日本ではあまり報じられていないが、中国も積極外交を見せている。昨年に続いてミュンヘン安全保障会議に参加した王毅外相は、その前に訪問したイギリスも含めると、次のような活動を行った。
〇2月14日
・イギリスのキア・スターマー首相と会見
・同ジョナサン・パウエル安保担当首相補佐官と会見
・第10回中英戦略対話に参加
〇2月15日
・米ハーバード大学のグレアム・アリソン教授と会見
・ホセ・アルバレス・スペイン外相と会談
・ミュンヘン安全保障会議で講演
・フリードリヒ・メルツ独CDU党首(次期独首相有力候補)と会見
・カヤ・カラスEU外交安全保障上級代表(EU外相)と会談
・アンナレーナ・ベアボック独外相と会談
・ヘラルド・ウェルテン・アルゼンチン外相と会談
・マルク・ルッテNATO事務総長と会見
・オラフ・ショルツ独首相と会見
・ギデオン・サアル・イスラエル外相と会談
・ジャン=ノエル・バロ仏外相と会談