アズキゾウムシはアズキに産卵する(写真:shironagasukujira/イメージマート)
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(岸 茂樹:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 上級研究員)

繁殖干渉が引き起こす絶滅と共存

 生き物が住む場所や食べ物を分けるのは「エサや場所の奪い合い(競争)」の結果だと説明されることがある。

 だが、もう一つ強い力がある。前回のコラム「生物に影響を与える繁殖干渉とは?種を超えたオスの求愛が相手種を絶滅させる」で書いた繁殖干渉だ。

 繁殖干渉とは、単に『間違い交尾』だけでなく、オスのしつこい行動によってメスが体力を消耗したり、本来つがう相手と出会えなくなったりして、次世代の数が減ってしまう実害を指す(ただし繁殖干渉は動物だけでなく植物にも生じるし、より正確には『繁殖干渉 理論と実態』(高倉・西田 2018)を参照してほしい)。

 例えば、カエルのメスが同じ種のオスの鳴き声を探しているのに、異なる種のオスがたくさん鳴いていて聞こえないケースも当てはまる。

 繁殖干渉は、長い間注目されてこなかったが、種の共存をさまたげる強力な要因となる。とはいえ、野外は広く、さまざまな環境があるため、2種の間に繁殖干渉があったとしても、2種が互いに住む場所や食べるものを違えることで共存できる可能性がある。

 今回は、繁殖干渉が原因になって、本来なら同じ場所、同じ食べ物を使えたはずの2種が、住む場所や使う食べ物を分ける現象を紹介する。