日本とイランは良好な関係を続けている(写真提供:Iranian Presidency/ZUMA Press/アフロ)

JBpressで掲載した人気記事から、もう一度読みたい記事を選びました。(初出:2024/5/14)※内容は掲載当時のものです。

イスラム体制による独裁的な権威主義国家として知られるイラン。ハマス・イスラエルの衝突を機に緊張の度合いを増す中東情勢を占う上でも重要なプレーヤーだ。にもかかわらず、その実態に関する報道は、日本では極めて少ない。いったいどのような国で、人々はどように生活しているのか。長年、留学や仕事で現地に滞在し、一般社会で暮らしてきた若宮總氏が伝える本当の姿とは?

(*)本稿は『イランの地下世界』(若宮總著、角川新書)の一部を抜粋・再編集したものです。

ペルシア語のことわざに「離れていればこその友情」

「イラン人は、欧米も、中露も、近隣諸国も嫌いなのだとしたら、いったいどこの国が好きなんだ?」

 これは本当に、噓偽りなく、主観を排して、客観的に、そして公平無私な立場で言わせてもらうが、答えはズバリ、日本である。

 何を隠そう、この私も、日本人が大好きなイラン人たちのおかげで、なんとか今日まで生き永らえることができたようなもので、他の国だったら今ごろ路頭に迷って野垂れ死んでいたかもしれない。

 彼らが親日である理由はいろいろあると思うが、要するにイラン人は、イランと付き合いが深かった国のことは、だいたい嫌いなのである。

 ペルシア語のことわざに、「離れていればこその友情」(ドゥーリ・オ・ドゥースティ)というのがある。くっつきすぎず、適度に離れていたほうが友情は長続きする。

 イランと日本がまさにそれで、両国の地理的・歴史的な距離が、親日感情の背景にあることは間違いない。

 もちろん、イランと関わりが薄かった国は日本以外にもたくさんあるわけで、イラン人が日本に惹かれる理由は、これだけではない。