YouTube「平壌生まれの北朝鮮人が初めて日本に来て衝撃を受ける!」より。これから初めて日本に旅行するソアさん(右)、同行した日本好きの「オモニ」(中央)、ユーチューバーのジュジュさん(左)YouTube「平壌生まれの北朝鮮人が初めて日本に来て衝撃を受ける!」より。これから初めて日本に旅行するソアさん(右)、同行した日本好きの「オモニ」(中央)、ユーチューバーのジュジュさん(左)

(勢古 浩爾:評論家、エッセイスト)

 前々回、アマゾンプライムに入会したことを書いた。

頑なに拒んでいたのに…動画配信サービスに一気にのめりこんでしまった

 直接的には、近所のツタヤが閉店したことが原因である。しかし間接的には、ニュースまでもショー化して垂れ流す情報番組や、お笑い芸人におんぶにだっこの番組、大げさな表現をするしか能のない食べ物番組や、主役偏重の稚拙なドラマを作っては、一仕事やったつもりになっているテレビに嫌気がさしていたことがある。

 アマゾンプライムで、いままで見逃していた映画を数多く見た。「手紙と線路と小さな奇跡」という韓国映画は秀逸だった。「BOSCH」や「なぜオ・スジェなのか」などの連続ドラマには感心した。それ以外に山崎貴監督の「ゴジラ-1.0」が配信された。井上尚弥のネリ戦がプライム独占で配信されたことは、予想外のご褒美だった。

 けれど家族のなかで、テレビのチャンネル権をわたしが自由にできるわけではない。それでわたしはパソコンでYouTubeを見ることが多くなった。深夜など一人のときは、テレビ画面でYouTubeを見る。保山耕一氏の「奈良、時の雫」や、アルトサックス奏者・細川慎二氏の「Sax in the Night City」などだ。

 そんな中、偶然に「平壌生まれの北朝鮮人が初めて日本に来て衝撃を受ける!」という動画に遭遇した。

ただの日本礼賛動画ではなかった

 来日したのは平壌出身でまだ若い、脱北4年目のキム・ソアさんである。彼女に同行したのは、脱北者の間で「オモニ」(母)と呼ばれる明朗活発な(やや騒々しい)中年女性。彼女は脱北8年目だ。それにジュジュさんというユーチューバーの3人である。ジュジュさんは韓国在住だが、福岡に住んだことがあり、日本語が堪能な好青年である。

 最初の印象では、これも外国人に日本礼賛をさせる動画のひとつだろうと思った。この手の真偽不明な日本礼賛動画がしこたまあるのだ。

 しかし「北朝鮮人」という部分に惹かれ、彼らが日本についてどういう印象をもつのかに興味をもった。軽い気持ちで見るつもりだったが、まずソアさんが大変な美人であることに驚き、そのソアさんが語る北朝鮮における洗脳の実態を知ってさらに驚いた。ただの日本礼賛動画ではなかったのである。

旅行前に「日本には怖い感情が残っている」と語っていたソアさん、帰国前には「日本にきてよかったし新しい世界も経験できた」と話すように旅行前に「日本には怖い感情が残っている」と語っていたソアさん、帰国前には「日本にきてよかったし新しい世界も経験できた」と話すようになった。YouTube「平壌で生まれた北朝鮮人が初めて日本の東京に来て衝撃が止まらない」より