衆院選の歴史的大勝から一夜明けて記者会見に臨んだ高市早苗首相(2月9日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
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 今回は、2月8日に投開票が行われた第51回衆議院選挙で見られたSNSなどを駆使した情宣のリスクに言及しておきたいと思います。

 端的に申すなら、今回選挙のメディア状況は、1933年3月5日に行われたドイツ国会選挙「Reichstagswahl vom 5. März 1933」と、新しいメディア環境が選挙に与える影響という面での類似点があります。

 このときドイツで議席の多数を占めたのは、(連立として)「国民社会主義ドイツ労働者党(NSDAP)」いわゆるナチス党と、連立相手のドイツ国家人民党(DNVP)でした。

 私はここで、現在の自由民主党がナチスドイツに似ていると言うつもりは全くありません。

 問題は、私の「専門」の観点である情報、特に不特定多数に対して発信される「新しい情報マスメディア」に関して、選挙制度規制などルールが確立していない状況です。

 何でもありのメディア環境下で行きすぎた情宣が選挙結果を左右し、極端な寡占などを実現してしまう危うさ、一言でいうなら「メディアが民主主義を壊してしまうリスク」です。

サナ活」なる言葉も生まれたようですが、今回の選挙を左右したのは、

●生成AIが半自動的に「推し活」
●それらのSNSによる不特定多数への半自動的情報散布
●それらによる動画・音声コンテンツの半自動生成と不特定多数への情報散布

 という、人類社会がかつて経験したことのない情報メディアによる3方向からの複合攻勢に遭ったと言えるでしょう。

 これとよく似た状況にあったのが1933年のドイツでした。93年前のドイツには、次の3つが大きな役割を果たしました。

●無制限に濫用される「ラジオ放送」
●むやみに用いられた「映画によるイメージ露出」
●飛行機など新たなモビリティによる交通ネットワークの活用