米司法省が公開したエプスタインの写真(撮影日不明、提供:DOJ/The Mega Agency/アフロ)
「エプスタイン問題」が世界のメディアで大きく取り上げられています。
2019年に欧米でエプスタイン問題が世間を騒がし、この連載でも扱った時点(記事1、記事2)では、日本の読者の関心はあまり高くなかった記憶があります。
その折、ちょうど第1次トランプ政権の半ばの時期、私が集めた欧文資料には「英アンドルー王子に私生児がいる可能性」を指摘するものが多数ありましたが、2019年9月の原稿では触れませんでした。
この時は、未成年者に対する性的人身取引の罪で起訴され拘留中に自殺したことが検視当局から発表されているジェフリー・エプスタイン元被告の死亡直後で、アンドルー王子問題よりも日本の読者にお伝えしたいことがほかにあったからです。
あれから7年、バイデン政権を挟んで改めて噴出した「エプスタイン問題」に関連して、内外でほとんど語られていない「理数」の側面を、専門の見地から書き下ろしてみたいと思います。
エプスタイン2026の焦点:「元王子」の場合
まず、現状での「エプスタイン問題」を簡単に整理しておきましょう。
2026年2月19日、「アンドルー・マウントバッテン=ウィンザー」元王子は、テムズバレー警察に逮捕されます。公職上の不正行為が逮捕の容疑でした。
これに先立つ2025年10月、英王室は「アンドルー王子」からヨーク公爵やガーター勲章(Order of the Garter)の騎士の資格といったすべての称号・栄誉を削除するプロセスを開始したと発表。
同月30日にはチャールズ国王自身が、アンドルーから「王子(Prince)」の称号を剥奪する正式手続きを開始したと発表していました。
今となっては後知恵ですが、現役の王族が「逮捕」されるという事態を避ける準備だったことが察せられます。
英王室としては1647年、時の国王チャールズ1世がイングランド議会勢力などにより拘束下に置かれた(清教徒革命)時以来と報じられ、英国史に残る恥辱と認識されているようです。
1647年といえば日本は江戸時代初期、3代将軍・徳川家光の時代で「慶安のお触書(1649)」で農民が統制され、欧州史では有名なウエストファリア条約(1648)で宗教改革に起因する戦争が終結、国際法による共存がスタートした時期にあたります。
それ以来の歴史に残る一コマだというのですから、何ともみっともない記録をアンドルー元王子は塗り重ねたことになります。
アンドルー元王子にかけられている主要な「エプスタイン問題」をまとめておきましょう。
1. 公職における不正行為:
貿易特使(2001〜2011年)時代、エプスタイン元被告に機密情報や公式の貿易文書、商業情報を提供・漏洩した疑い。
2. 未成年者への性的虐待・性的暴行:
バージニア・ジュフレ氏が17歳の時、ロンドン、ニューヨーク、およびカリブ海の私有島(リトル・セント・ジェームズ島)で、元王子らから性的暴行を受けた容疑。
3. 疑惑に対する虚偽説明の疑い:
英BBCのインタビューで「2010年末にエプスタインとの縁を切った」としていたが、実際は2011年以降も「我々は運命共同体」といったメールを送っていたことが判明、隠蔽工作の疑い。
これ以外の新たな情報の発覚によっては、国際問題にも発展しかねない状況です。しかし、それ以上に露骨なのは、米国のドナルド・トランプ大統領のケースでしょう。