昨年12月29日、フロリダ州パームビーチのマール・アー・ラゴで行われた記者会見で握手を交わすアメリカのトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相(写真:AP/アフロ)
[ロンドン発]「イランの最高指導者アリ・ハメネイ師暗殺計画の内幕」と題した英紙フィナンシャル・タイムズの特集記事(3月2日付)はイスラエルの執念と米国の決定的なヒューミント(人的情報収集)が結実した情報戦の集大成だったと報じている。
「モサド長官、君のターゲットはイランだ」
それによると、2000年代初め、イスラエルのアリエル・シャロン首相は、シリアやパレスチナ武装勢力、レバノンのシーア派武装組織ヒズボラに気をとられている対外情報機関モサドのメイル・ダガン長官にイランを最優先にするよう釘を刺した。「君のターゲットはイランだ」と。
イスラエルの元首相アリエル・シャロン氏=故人(写真:ロイター/アフロ)
それ以来イランが標的だったとモサド元職員シマ・シャイン氏はFT紙に振り返っている。イスラエルはエジプトからシリアまで敵国元首のサークルに浸透していた。しかし戦時中であっても元首暗殺はタブーだった。暗殺に失敗すれば敵対する体制の威信を高めてしまうからだ。
斬首作戦は成功しても予測不能な混乱を引き起こす恐れがある。しかし2023年10月7日パレスチナのイスラム組織ハマスによる攻撃で常識は一変。24年のテヘランでのハマス最高幹部暗殺、親イラン民兵組織ヒズボラ戦闘員へのポケベル爆弾でイスラエルの自信は不動になる。