2015年1月に社長交代した、ジャパネットたかたの高田旭人新社長(左)と、創業者で父親の明前社長(写真:共同通信社)
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(勢古 浩爾:評論家、エッセイスト)

 通販大手のジャパネットの2025年12月期の売上高が、過去最高の約2950億円になる見込みであることが分かった(「ジャパネット売上高が過去最高に…2950億円の見込み、クルーズ船事業も好調 2025年12月期」、長崎新聞、2025/12/23)。

 これが、わたしにしてみれば不思議である。

 わたしはなんの因果か、長年、ジャパネットのテレビ通販番組を見つづけてきた。

 ジャパネットが、今から32年前の1994年にテレビショッピングを始めたころの、中島一成と塚本慎太郎(いずれも番組生え抜きのキャスター?)を知っている。無理もないが、二人ともガチガチであがりっぱなしだった。

 昔は取り扱う商品もいかがわしいものが多かった。

 焼肉のザイグル(上からも下からも赤外線で焼く)とかいう商品はあきらかに作りが粗雑で、悪評ふんぷんだった(しかしこれが当たったらしい)。

 また家庭用カラオケなんぞを、社長の高田明が高音を効かせて気分よく歌って紹介していた。これは今でも販売しているようだが、やめなさい。こんな近所迷惑でしかない商品を、作る方も作る方なら、売る方も売る方だ。

 有名な下取り制度もみえすいた遣り口である。下取りしたあとの価格もけっして安くはなかったのだが、購買者(主に高齢者)はあれに幻惑されたか。

 それに、ある製品を20円安くしては、「9980円! 税込で1万円切るのですよ!」と塚本が叫ぶのだが、これが声を張り上げるほど誇れることか。

 ご推察どおり、わたしはジャパネットの商売の仕方に否定的だった。

 お年寄りたちも遅かれ早かれその手口に気付き、このような商売はいずれ先細りになるのではないかと思っていた。

 おなじ頃、ほとんど知られていないが、トーカ堂というテレビショッピングの会社があった(現在もあるが)。本社は福岡にあり、社長は北義則。愛称キタさん。

 かれの得意な商品は真珠だったが、時代のせいだったか、あまり売れなかったようで、のちにはビデオカメラなどにシフトした。

 このちょっと小太りのキタさんの芸風が、わたしは好きだったのである。

 ゲストのタレントに、それでお値段は? といわせ、キタさんが体を引き気味にして、こんなに安くしてすいませんというように小声で、「3マン9800エン」というと、周りが、エー(そんなに安くしていいの?)と驚く、というお約束である。

 いかにもわざとらしいこの芸風にはまってしまった。

 華丸大吉の華丸がこの芸風を気に入り、真似していたのはさすがである。