AIを動かすインフラにも「戦時」の対応が求められている(筆者がChatGPTで生成)
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(小林 啓倫:経営コンサルタント)

 ある朝、あなたの会社のAIがすべて応答しなくなっていたとしたら、いったいどうなるだろうか。高度なAIアプリケーションが支援していた社内からの問い合わせ対応、顧客への見積もり自動生成、与信チェックなどすべてが停止してしまえば、会社は大混乱に陥るに違いない。

 AIが停止した理由は、データセンター側のトラブルだ。

 もちろんどんなに堅牢なデータセンターでも、各種の不具合からは逃れられないのだから、それを踏まえた対応がなされているだろう。だからうちの会社は心配はいらない、すぐに別のデータセンターに処理が切り替わってAIも復旧する──はずだった。そんな安心感を打ち砕くような事件が、つい最近発生している。

 2026年3月1日、UAE(アラブ首長国連邦)にあるAWSのデータセンターに正体不明の飛来物が衝突し、火災が発生した。消防当局は施設の電源を遮断し、AWSの中東リージョンの一部がオフラインとなった。そしてそれに依拠していた、EC2、S3、RDS、DynamoDBなど約60のサービスが影響を受けた

 同日、イランは米国・イスラエルによる攻撃への報復として湾岸諸国にミサイルとドローンを発射しており、AWSは飛来物の正体について明言を避けたものの、確認されればこれは「米国大手テック企業のデータセンターが軍事行動によってオフラインになった初のケース」になると指摘されている

 そう、戦争の攻撃対象としてAIのインフラが狙われる時代が、想像ではなく現実のものとなったのである。