米国とイスラエルに対するイランの反撃は湾岸諸国に及んでいる。写真はアラブ首長国連邦のドバイ(写真:ロイター/アフロ)
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(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

 2月28日、米国とイスラエルがイランの首都テヘランの空爆に踏み切った。この攻撃で、イランの最高指導者であるアリー・ハメネイ師が死亡したと米国のドナルド・トランプ大統領は自身のSNSで主張、直後にイランもその事実を認めた。イランは報復措置として、中東各国にある米軍施設やイスラエルの大都市テルアビブに攻撃を加えた。

 またイランのタスニム通信は、同国の軍事組織である革命防衛隊が、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡を船舶が通行することを禁じたと報じた。イランを含めた多くの中東の産油国、具体的にはバーレーンやイラク、クウェート、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)といった国々は、ホルムズ海峡を通じて原油を輸出する。

 ゆえに、ホルムズ海峡の航行の停止は世界的な供給の不安につながるため、国際指標であるブレント原油の先物価格は東京時間の3月2日朝、1バレル当たり80米ドル近くまで上昇した。ただし、中国の要請でイランが海峡の通行を容認したとの情報もある。情報が錯綜しているため、金融市場も情勢の動向を見極めるムードになっている。

 懸念される日本への影響だが、原油に関しては、概ね8カ月分の備蓄量があるため、価格急騰の悪影響がただちに顕在化する事態にはならない。それよりも懸念されるのは天然ガスの方だ。日本の天然ガス備蓄量は数週間分に過ぎないが、オーストラリアや東南アジアから随時調達できる。ただ、液化天然ガス(LNG)の価格は油価に連動しているため、油価急騰の影響がすぐ顕在化する恐れがある。

 仮にホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば、日本国内のエネルギー価格も上昇は免れない。高市早苗首相は円安志向が強いようだが、エネルギー価格が上昇する局面でその姿勢を堅持すれば、さまざまなモノやサービスの一段の価格上昇を招くこととなる。エネルギー減税の強化で乗り切れると考えているなら、それは甘い認識と言わざるを得ないだろう。