出所:共同通信イメージズ
記録的な寒波による大雪や森林火災が相次ぐ中、災害対応力を強化することの重要性がますます高まっている。そうした災害発生時における現場状況の把握、監視に力を発揮し続けているのが、2024年7月1日に打ち上げに成功した地球観測衛星「だいち4号」だ。「絶対に失敗できないプロジェクト」はどのように進められたのか、2025年10月に書籍『導く力 プロジェクトマネジメントで大切なことは宇宙が教えてくれた』(JTBパブリッシング)を出版した宇宙航空研究開発機構(JAXA)第一宇宙技術部門事業推進部計画マネージャの有川善久氏に話を聞いた。
プロジェクトマネジメントの「暗黙知」を広く伝える
──著書『導く力』の執筆はJAXAの業務の一環として取り組んだとのことですが、どのような理由から今回のテーマを選んだのでしょうか。
有川善久氏(以下敬称略) 私は2002年にJAXAへ入社し、これまでの23年間で複数の人工衛星プロジェクトに携わってきました。その中で、さまざまな個性を持つ先輩プロジェクトマネージャの背中を見ながら、多くを学んできました。
これらの経験は、私の中で「暗黙知」として蓄積されていきました。そして、それを基にプロジェクトマネージャとして臨んだのが、地球観測衛星「だいち4号」です。このプロジェクトを通じて、一定の成果を上げることができたと感じています。
だいち4号は、打ち上げ時の重量が3トンにもなる大型衛星で、日本全国を2週間で網羅的に観測する性能を持っています。特に災害発生時には、被災地の状況を迅速に把握するための観測データを提供するという、極めて重要な役割を担っています。
プロジェクトには、私の右腕となって支えてくれたサブマネージャをはじめ、信頼できるメンバーたちがいます。現場での経験を通じて、彼らにも多くを学んでもらえたのではないかと思います。
しかし私としては、JAXA内に限らず、宇宙ベンチャーや民間企業、さらには異業種でリーダーシップを発揮する方々にもこの経験を広く伝えたいという思いが強くなっていきました。
宇宙開発のプロジェクトマネジメントは一見特殊に見えるかもしれませんが、実際には他の産業でも応用できる普遍的なエッセンスが数多くあります。だからこそ、私自身が得てきた暗黙知を形式知へと変換し、誰もが活用できる形で発信することに意義があると考え、本書を執筆することにしました。







