写真提供:Joan Cros/NurPhoto/共同通信イメージズ
内燃機関は本当に時代遅れなのか。電動化が進む自動車業界で、エンジン技術はなお進化を続けている。環境規制や電気自動車(EV)化の潮流を踏まえながら、熱効率向上や新燃焼技術の開発の最前線に焦点を当て、エンジン復権の可能性を問い直す『エンジンの逆襲』(伏木幹太郎著/日経BP)から内容の一部を抜粋。日本が誇るエンジン技術の底力と中国のEV戦略を探る。
「脱エンジン」でEVに突き進んだ欧州だが普及は停滞。その隙を突いて中国製エンジンが台頭した。欧州は再びエンジンに投資できるのか。
※記載されている事実関係は、刊行当時のものです。
EVシフト潰えた欧州勢
『エンジンの逆襲』(日経BP)
2020年代後半から「脱エンジン」を掲げ、電気自動車(EV)シフトへ突き進んだ欧州。そのシナリオが瓦解している。期待したほどEVは普及せず、いま脚光を浴びているのはハイブリッド車(HEV)だ。エンジン技術を手放した隙を突くように、中国製エンジンが欧州に攻め込んでいる。
2015年のドイツのフォルクスワーゲン(VW)による排ガス不正問題「ディーゼルゲート」を機に、EVシフトへ突っ走った欧州勢は苦境に陥っている。EVの販売が停滞するVWは、2030年までに3万人以上の人員削減を余儀なくされた。2024年にはドイツ本国の工場閉鎖まで検討する事態となった。ドイツのメルセデス・ベンツグループの業績も苦しく、2024年は減収減益に陥る。2025年2月にはEV販売低迷を受けたリストラ策を発表する事態に追い込まれた。
EVが伸び悩む中、欧州勢は方針転換を始めている。VWグループ最高経営責任者(CEO)のオリバー・ブルーメ氏は、2035年にEVの販売比率を100%にするのは「時期尚早」と語り、今後もエンジン車が重要であるとの考えを示した。メルセデス社長のオラ・ケレニウス氏も日本経済新聞のインタビューで「2035年にエンジン車を一律に禁止すれば自動車市場が崩壊する」と懸念を示した。






