トヨタ自動車 代表取締役会長 豊田章男氏写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ
内燃機関は本当に時代遅れなのか。電動化が進む自動車業界で、エンジン技術はなお進化を続けている。環境規制や電気自動車(EV)化の潮流を踏まえながら、熱効率向上や新燃焼技術の開発の最前線に焦点を当て、エンジン復権の可能性を問い直す『エンジンの逆襲』(伏木幹太郎著/日経BP)から内容の一部を抜粋。日本が誇るエンジン技術の底力と中国のEV戦略を探る。
EVシフトの揺り戻しが進む中、発電構成や次世代燃料、EVの限界という3つの視点から、エンジンが今後も果たす役割と日本のマルチパスウェイ戦略を読み解く。
※記載されている事実関係は、刊行当時のものです。
エンジンが生き残る3つの理由
『エンジンの逆襲』(日経BP)
各国・地域で無謀とも言える急激なEVシフトから、現実的な路線への切り替えを模索する動きが広がっている。ただ当面の揺り戻しなのか、長期的な傾向なのか、電動化の行方は依然として不透明だ。筆者も長期的にはEVの販売比率はまだ拡大する余地があると見る。それでもこの5年ほどの性急なEVシフトの取り組みの結果、エンジンは今後も一定の役割を果たすということも明らかになった。
理由は大きく3つある。
第1に、各国・地域の発電構成の違いがある。EVは走行時の排ガスはゼロだが、電源が石炭や石油火力に依存していれば間接的にCO2を排出する。再生可能エネルギーや原子力の比率が高いノルウェーやフランスではEV化の恩恵が大きい。
一方で依然として火力発電に依存する日本や米国、さらには新興国ではEVの環境メリットは限定的だ。EV、特に中核部品の電池は製造時のCO2排出量が多い。製造から廃棄に至るライフサイクル全体のCO2排出量で比較すれば、地域によってはEVよりもHEVやPHEVの方が環境負荷を抑えられる。






