労働生産性の低さ、新陳代謝の乏しさ、デジタル人材の不足、ガバナンスの不全 etc.
日本の企業について語るとき、そこにはネガティブな言葉が並びます。
「ジャパンパッシング(日本素通り)」に代表されるように、欧米諸国における日本の存在感の低下は否めない事実です。「失われた30年」を経て、私たち日本人もそれを当然のことのように受け入れています。
果たして、日本の企業は本当に輝きを失ってしまったのでしょうか。
私たちは30年もの間、徒に手をこまねいていたのでしょうか。
答えは、もちろん「否」です。
日本の企業は、静かに、しかし着実に変革を遂行してきました。そこに、欧米企業のような派手さはないかもしれません。善し悪しは別に、その成果を喧伝することもあまり得意ではありません。しかし、それこそが日本のやり方であり、日本企業らしさでしょう。
さもなくば、先端材料や部品で世界のサプライチェーンを制し、工作機械やロボット、半導体製造装置、建設機械、医療機器など、多くの分野でグローバル市場を席捲することなど不可能ではないですか。
先行して覚醒した企業は、唸る内部留保をもって東南アジアをはじめとした世界の成長市場で戦略的な企業買収や投資を加速させており、遅れているとの指摘も多いDX(デジタルトランスフォーメーション)にしても、一気呵成にキャッチアップを進めています。
世界的な潮流であるサステナビリティの文脈においても、日本企業はもとより最先端の環境技術を有し、企業の公器性が重んじられるという文化に身を置いてきました。
雌伏の時を経て、いま再び、世界で飛翔するときがやってきたのです。
海外の良いところは謙虚に学びつつも、私たちは私たちならではのやり方で、戦後の高度成長が決して“まぐれ”ではなかったと証明しようではありませんか。
その鍵を握るのは、揺るぎない意志で変革に立ち向かうリーダーの皆さんです。
2023年5月、「JDIR(JBpress Digital Innovation Review)」は新たに「Japan Innovation Review」へ生まれ変わりました。
「組織を変える、社会が変わる。DXのその先へ。」というタグラインはそのままに、メディアの名称から「D(Digital)」を外すとともに、「J」の意味を「Japan」へと改めました。この変更には、日本の企業や社会で変革/イノベーションに取り組むリーダーの皆さんの、“すべての挑戦”を見届けたいという、私たちの意志を込めました。
「Japan Innovation Review」は変革リーダーの皆さんと共に、日本の企業がさまざまな困難に立ち向かい、社会に山積する課題の解決を通じて、その使命を果たされることを強く望みます。
さぁ、今こそ立ち上がる時です。
Japan Innovation Review 編集長