タイのマツモトキヨシの店頭で展開された「ビオレUV」
写真提供:花王

 花王のスキンケアブランド「ビオレ」が日焼け止め市場で躍進、5年連続売上首位を達成した。その背景には、流通大手マツキヨココカラ&カンパニーとの協業による新たなテストマーケティングの仕組みがある。従来2~3年かかっていた商品改善のサイクルを1年に短縮し、失敗のリスクを抑えながら高速でPDCAを回す。この成功モデルを武器に、2025年からは海外展開にも乗り出している。「両利きの経営」の提唱者チャールズ・オライリー教授の日本における共同研究者・加藤雅則氏が、ブランドダイレクターの小林達郎氏に、マーケティング戦略の舞台裏と今後の展望を聞いた。

日焼け止め商品を「成長ドライバー」に

――基幹ブランド「ビオレ」の国内シェアが近年、拡大しています。どのような背景があるのでしょうか。

小林 達郎氏(以下、敬称略) 1980年に洗顔フォームからスタートしたビオレは、当時主流だった固形石鹸に代わり、中性洗浄基材を用いた洗顔習慣を提案しました。

 その後も、「ビオレu」のボディソープをはじめ、「毛穴パック」「ふくだけコットン」「さらさらパウダーシート」「泡ハンドソープ」など、時代ごとに新しいスキンケアの在り方を提示してきました。社会や生活者の課題を解決するための新しい習慣を作りながら成長し、ユニークなポジションを築いてきたわけです。

 2010年代後半には、ビオレといえば「肌に優しい」「家族みんなで使える」というイメージが広く浸透していました。一方で、それが裏返しとなり、競合他社との差別化が難しくなっていたのも事実です。インバウンド需要で一部商品は伸びていましたが、国内全体で見ると成長は鈍化し、ブランド全体に停滞感が漂いました。

 そうした中、次の成長領域をどう作っていくかを模索する中で、2019年にブランドの再定義を行いました。着目したのが「環境ストレス」という概念でした。