村田製作所 ITビジネスエンジニアリング統括部 デマンドチェーンDX推進部 部長の原田良介氏(撮影:川口紘)
生成AIの普及によって大きな変化の局面を迎えている製造業のマーケティング。その中で村田製作所はBtoBマーケティングの再設計と強化に取り組み始めた。AIが顧客企業の設計者や購買担当者に代わり製品選定に関与する時代に、メーカーは価値をどう伝えるべきか。コンテンツ設計とマーケティングDXの現在地を、ITビジネスエンジニアリング統括部 デマンドチェーンDX推進部 部長の原田良介氏に聞いた。
BtoBマーケティングはプロジェクトベースに変化する
――村田製作所は電子機器のメーカーを顧客とするBtoBビジネスを展開しています。BtoBのデジタルマーケティングでは、どのような課題がありますか。
原田良介氏(以下、敬称略) BtoCの場合は基本的にデジタルマーケティングの対象が個人で、最大でも家族という単位がターゲットです。それに対してBtoBでは、個人は年齢や嗜好といったパーソナルな属性ではなく、「リード(見込み顧客)」という単位で扱われ、同時に「法人」という組織の中での機能や役割が重視されます。近年「ABM(アカウントベースドマーケティング)」が主流となる中で、個人と、個人のグループである企業組織の両方に対してマーケティング施策を実施するところが、BtoCとの大きな違いといわれています。
私がBtoBのデジタルマーケティングについて最近思うのは、対象が個人では小さ過ぎ、逆に法人では大き過ぎるということです。われわれが押さえるべきターゲットはその中間に存在していて、例えばプロジェクトや商談といった単位でマーケティングを考えていかなければいけないと感じています。
実際のビジネスでは、例えばある企業がパソコンを開発する場合、当社のさまざまな製品を使用するため、1つのプロジェクトに対して複数の商談が平行して進みます。アカウント(顧客企業)内の組織図に照らし合わせて、何人のお客さまが関わっていて、誰にアプローチすべきかを見極めなければいけません。
こうした情報は、従来は営業部門のノウハウとして個別に蓄積されていました。それを組織で共有し、オンライン、オフラインを組み合わせた施策を実施していくことが、当社のマーケティングの要点です。






