リコー 技術統括部 技術経営センター所長の中原逸広氏(撮影:榊水麗)
リコーは2020年「デジタルサービスの会社になる」と宣言し、プリンティング中心の事業モデルからの転換を進めてきた。鍵を握るのが、全社規模でのデジタル人材のスキルとマインドの変革だ。2022年には社内アカデミーを開校し、全社員の98%がデジタルリテラシーを履修する一方、「学びが実践につながらない」という課題も浮かび上がった。ビジネスモデル転換を支える人的資本戦略の全体像と、その壁をどう乗り越えようとしているのかについて、同社の次世代技術人材の育成をリードする技術統括部技術経営センター所長の中原逸広氏に聞いた。
なぜリコーは「デジタルサービスの会社」を目指すのか
──リコーは2020年に「デジタルサービスの会社になる」と宣言しました。なぜ、ビジネスモデルの変革が必要だったのでしょうか。
中原逸広氏(以下、敬称略) 当社は1936年に創業し、1946年に創業の精神として「三愛精神(人を愛し 国を愛し 勤めを愛す)」を提唱いたしました。1977年には業界で初めて「オフィス・オートメーション(OA)」を提唱し、「機械ができることは機械に任せて、人は創造的な仕事を行うべき」という考え方を示しました。
AIなどのテクノロジーの進化によって、人と技術の関係が問われている現在ですが、当社では50年近く前から、人と機械の役割分担を明確にした事業を進めてきたことになります。
しかし、製造業として成長してきた当社の事業環境は変わりつつあります。これまでの本社機能は、技術シーズをベースに製品開発を主導してきました。その結果、プリンティング事業を中心に、複合機やプリンターといったOA製品の製造や保守を担う体制が築かれてきました。お客さまにとってどんな機能や技術が必要かを本社が考えて開発し、それを営業部門がお客さまに届けるというビジネスモデルだったわけです。






