
AIがあらゆるスキルを代替する時代、真に求められるのはどんな人材だろうか。サイバーエージェントが掲げる「素直でいい人」という、一見すると精神論にも思える採用基準。しかし、実はAI共生時代には極めて合理的な戦略であることが、一冊のビジネス書から見えてくる。
「正解」に固執せず未知を面白がる力、そしてその才能を解き放つ「関係の質」とは。ビジネス書の目利きである荒木博行氏が『そして僕たちは、組織を進化させていく』(斉藤徹著、クロスメディア・パブリッシング)を補助線に、これからの組織の在り方を探る。
「具現化能力」の価値は暴落する
『そして僕たちは、組織を進化させていく』(斉藤徹著、クロスメディア・パブリッシング)
「素直でいい人」──これは、サイバーエージェントが創業以来、採用方針として掲げ続けている有名なキーワードの一つだ。
一見すると「従順な人」や「単なるお人よし」を指す言葉のように聞こえるかもしれない。しかし、AIが進化し続ける令和の時代において、この言葉は想像以上に深い意味を持つ。
同社の専務執行役員兼人事本部長の石田裕子氏は、2025年11月9日付の日本経済新聞のインタビューで、「採用選考で重視することは何か」と聞かれ、こう語っている。
「あえて挙げるなら『コミュニケーション能力など人柄』、そして挑戦意欲とチーム主義です。サイバーエージェントでは特に『素直でいい人』を採用の必須条件としています。人工知能(AI)の進化など変化の大きい業界なので、世の潮流に素直に適応できる人材を求めています」
なぜ、今、AI時代に「素直さ」が最強の武器になるのか。その言葉の意図を理解するために、ある職場の風景を想像してみてほしい。






