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優れた人材の確保や活用が企業の競争力を左右する時代。人事領域をつかさどる人間が経営に参画する必要性は日に日に高まっている。その中でCHRO(最高人事責任者)は何を考え、どう行動すべきなのか。ヤフーで人事部門を務め、現在は企業の人材育成や1on1ミーティングの導入指導に関わるパーソル総合研究所取締役会長の本間浩輔氏が「経営人事」を深掘りしていく。
前回に引き続き、オンライン1on1を提供するエールの取締役やメルカリの社外取締役を務める篠田真貴子氏に、取締役会や社外取締役の役割について話を聞いた。社外取締役に求められる覚悟とは。
取締役の人数を倍以上にした理由
皆さん、こんにちは。本間浩輔です。この連載では、「経営人事の仕事論」というテーマで「経営人事」について深掘りしていますので、お付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、前回に続いてエールの取締役やメルカリの社外取締役として活躍されている篠田真貴子さんのお話をご紹介します。前回は取締役会や社外取締役の役割といった教科書的な話をフックに、メルカリの「議論する取締役会」を深掘りしました。興味がある方は、前回記事「メンバーの3分の2が社外取締役、12人中7人が女性…なぜメルカリは『議論する取締役会」を選択したのか?」をお読みいただければと思います。
篠田さんをお招きした慶應丸の内シティキャンパス(慶應MCC)の講座「経営人事の仕事論」では、僕や参加者からの質問に篠田さんが答えるという形で議論を深めていきました。その質問の一つに「取締役の適正人数」がありました。取締役は何人ぐらいが適正なのか? という問いです。会社の規模にもよるので、一概には言えませんが、本質を突いた質問だと思います。
実は、メルカリが今の体制になったのは、同社が指名委員会等設置会社に移行した2023年9月のこと。篠田さんによると、移行前の取締役は5人だったそうです。
なぜ取締役を12人に増員したのかというと、篠田さんによれば、指名、報酬、監査の各委員会が機能するために必要だったということに加え、グループの事業領域が拡大し、守備範囲が広がったことが大きな理由だったようです。
もちろん、広い守備範囲を誇るオールラウンダーが複数人いれば従来の5人でも回るかもしれませんが、現実にはそんなスーパーな人はなかなかいません。であるならば、創業者で代表執行役CEOの山田進太郎さんの他に法律や会計、海外市場などベースの強みを持つ人が11人集まり、それぞれの強みをベースに経営判断を下していく方がいいという現実的な判断です。
講義の場でも話に出ましたが、ここで重要なのは会議が可能な人数かという視点です。会社法では、取締役会を設置する会社は3人以上の取締役が必要だと定められています。ただ、3、4人の取締役会では意見の多様性が不足しがちです。逆に、昔の日本企業のように、取締役が何十人もいても議論ができません。一人が3分話したとして、30人の取締役がいればそれだけで90分です。
取締役の人数に正解はありませんが、事業のスコープをある程度カバーでき、多様な意見と議論が可能になる人数が適正な数ということになるのかもしれません。この部分については、取締役会の他に戦略討議のような場を持つ場合や、事前の説明をどれだけ丁寧にするかという点にも関連してくるので、各社ごとに適正人員は異なります。また、取締役会をオンライン、オフラインにするかによっても異なると思います。そのため、ある程度のトライアンドエラーが必要になると考えた方がいいかもしれません。
加えて、篠田さんは、メルカリの取締役会事務局の能力の高さを絶賛していました。僕もこれまで、いくつかの会社の取締役会事務局を見てきましたが、確かに事務局の能力と取締役の実効性にはある種の相関があると思います。






