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 優れた人材の確保や活用が企業の競争力を左右する時代。人事領域を司る人間が経営に参画する必要性は日に日に高まっている。その中でCHRO(最高人事責任者)は何を考え、どう行動すべきなのか。ヤフーで人事部門を務め、現在は企業の人材育成や1on1ミーティングの導入指導に関わるパーソル総合研究所取締役会長の本間浩輔氏が「経営人事」を深掘りしていく。

 今回は、オンライン1on1を提供するエールの取締役やメルカリの社外取締役を務める篠田真貴子氏に、取締役会の活性化や社外取締役の役割について話を聞いた。

取締役会を機能させるには

 皆さん、こんにちは。本間浩輔です。この連載では、「経営人事の仕事論」というテーマで「経営人事」について深掘りしていますので、お付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、今回の記事でご紹介するのは、エールの取締役やメルカリの社外取締役として活躍されている篠田真貴子さんです。篠田さんはLinkedInを創業したリード・ホフマンさんの『ALLIANCE──人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』(ダイヤモンド社)や「聞く」ということの重要性にフォーカスした『LISTEN―知性豊かで創造力がある人になれる』(日経BP)などの監訳を務めたことでも知られています。

 篠田さんのキャリアの始まりは旧長期信用銀行(現・SBI新生銀行)でした。旧長銀は1998年に経営破綻し一時国有化されましたが、篠田さんは1995年に退職、米国に留学しました。米国では、ペンシルベニア大学ウォートン校MBA(経営学修士)、ジョンズ・ホプキンス大学国際関係論修士を取得しています。

 その後、1998年の帰国と同時にマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社、経営コンサルタントとして活躍します。そして、スイスの製薬会社ノバルティスファーマに移り、M&Aをした企業のPMI(買収後の統合)を主導。所属部門がネスレに売却されたためネスレ日本に移籍しました。2008年に東京糸井重里事務所(現・ほぼ日)に入社した後は10年間、同社の取締役CFO(最高財務責任者)を務めています。

 ちなみに、ほぼ日を退社された後は「ジョブレス」と称して1年間、特定の会社に所属せず、多くの仲間と話をしていたそうです。もともとじっくり人の話を聞くタイプではなかったそうですが、会社に所属せずフラットな立場で話を聞いていると、相手がより深い話をしてくれるようになり、人の話に耳を傾ける面白さに目覚めたそうです。今は、エール株式会社の取締役を務めています。

 こうして改めてキャリアを振り返ると、コンサルタントとしての経営の知識をベースに、M&A、PMI、財務、ガバナンス、人事などを高いレベルで経営を深く理解している方だということが分かると思います。

 そこで、今回は取締役会の役割やいかに機能させるか、その中で社外取締役はどういう役割を果たすことができるのか──という部分にフォーカスして、僕が講師を務める慶應丸の内シティキャンパス(慶應MCC)の講座「経営人事の仕事論」でお話しいただきました。

 講義はいつもの通り、僕や参加者の質問をベースに、その場で篠田さんに考えて答えてもらうというジャズ的なセッションを目指しました。そのため、時に篠田さんが想像しなかったような話や篠田さんの深い部分からの言葉が出てくるなど、とても充実した対話になりました。篠田さんはもちろんのこと、場を作ってくれた参加者の皆さんに感謝です。