星野リゾートの星野佳路代表写真提供:共同通信社
自社の課題に正面から向き合い、事業を再建・成長へと導いた一流の経営者たちは、何を羅針盤とし、どのように組織をまとめ上げ、目標を達成したのか。経済ニュース番組の人気コーナー「モーサテ塾」を書籍化した『鉄人たちの仕事の哲学』(小林洋達著/かんき出版)から一部を抜粋。日本を代表する経営者3人の思考法や信念に迫る。
業績不振の宿泊施設を次々に再生してきた星野リゾート。競争力の獲得・維持のため、星野佳路代表は何を選び、何を捨てたのか?
独自性を維持するための戦略
――トレードオフを伴う活動を選ぶ
『鉄人たちの仕事の哲学』(かんき出版)
■ 犠牲なき活動は真似される
星野リゾートでは、青森のホテルを再生する時に、「宿泊客に津軽三味線を披露する」というサービスを導入して大ヒットしました。それから10年が経ったら、青森の大きな旅館は大体、同じサービスを始めました。つまり真似をされたわけですが、これはなぜ、すぐに真似をされたと思いますか?
なぜなら始めやすいからです。
つまり「津軽三味線の披露」は、トレードオフを伴わない活動なのです。このサービスをすることで収益が上がるし、そのために何も犠牲にしていない。何かを犠牲にしていない活動は、トレードオフを伴っていません。
他にも、私たちは北海道のトマムの再生で「雲海テラス」というものをつくりました。夏のスキー場のゴンドラの上に、雲海を眺めるテラスを造ったら大ヒットして、トマムの夏の収益が劇的に上がりました。
そして10年経ったら、日本のあちこちのスキー場が夏にゴンドラを動かして、同じように展望テラスを造っています。
この雲海テラスは、なぜ簡単に真似されたのか。これもトレードオフを伴っていないからです。トレードオフを伴わない活動は簡単に真似をされます。






