ソニー平井一夫・元社長
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 自社の課題に正面から向き合い、事業を再建・成長へと導いた一流の経営者たちは、何を羅針盤とし、どのように組織をまとめ上げ、目標を達成したのか。経済ニュース番組の人気コーナー「モーサテ塾」を書籍化した『鉄人たちの仕事の哲学』(小林洋達著/かんき出版)から一部を抜粋。日本を代表する経営者の思考法や信念に迫る。

 ソニー再生に向け、世界各地で現場訪問を行った平井一夫・元社長。従業員との対話においてトップが肝に銘じるべき5つの要諦を語る。

モチベーショナル・リーダーシップの実践
――リーダーが見られている5つのポイント

鉄人たちの仕事の哲学』(かんき出版)

■ トップが自ら行き、ハートから語る

 トップが常に見られていることの良い例として、現場訪問における5つのポイントをお話ししていきます。

 1番目は、先ほども言いましたが、責任者であるトップが自ら現場に行って、説明することが大事です。

 なぜこの事業をやめるのか。なぜこの事業を買収するのか。どうしてネットワークビジネスをやらなければいけないのか。トップが自ら説明しに行くことです。

「プレイステーションネットワークを始めよう」という話であれば、全社に関わる話になりますので、全社の責任者、つまり社長が現場に行って、説明しなければダメです。

 なぜかと言うと、全社的に「これからの時代は、ネットワークのビジネスが重要だ」と言っているのに、現場へと説明に行くのがナンバー3の役員だったら、「プライオリティーが高いと言っているのに、トップは現場に来なかった。それぐらいにしか思っていないのね」と認識されて、モチベーションがガーンと下がってしまいます。

 部署がイニシアティブ(主導権)を握る改革ならば、部長が自ら、インパクトを受ける社員に対して説明を何回もすることが必要です。

 関係する部署や、チームのトップが自ら現場に説明をしに行くことが、非常に重要になってきます。それが、現場訪問の意味です。