写真提供:©Igor Golovniov/SOPA Images via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ

 内燃機関は本当に時代遅れなのか。電動化が進む自動車業界で、エンジン技術はなお進化を続けている。環境規制や電気自動車(EV)化の潮流を踏まえながら、熱効率向上や新燃焼技術の開発の最前線に焦点を当て、エンジン復権の可能性を問い直す『エンジンの逆襲』(伏木幹太郎著/日経BP)から内容の一部を抜粋。日本が誇るエンジン技術の底力と中国のEV戦略を探る。

 欧州の排ガス規制「ユーロ7」をはじめ、世界各国の多様なエネルギー事情に合わせ、単一解ではなく、多様な解を同時に追求するトヨタのパワートレーン戦略に迫る。

※記載されている事実関係は、刊行当時のものです。

日本のエンジン・HEV技術、7社の戦略
トヨタ自動車

エンジンの逆襲』(日経BP)

 トヨタ自動車のパワートレーン戦略の根幹は「マルチパスウェイ」で、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)とともに、エンジンの開発に力を注いできた。

 背景には、自動車の製造過程から走行、廃棄まで全体のライフサイクルにおける二酸化炭素(CO2)排出量を見ると国によって最適なパワートレーンは変わるとの考えがある。国や地域ごとに異なる交通環境やエネルギー構成の違いがあり、ハイブリッド車(HEV)やEVなど最適なパワートレーンは異なると見る。

 多様な市場にクルマを販売するトヨタとしては、現時点でパワートレーンの種類を絞らずに、それぞれのエネルギー事情に合わせた自動車を用意すべきだという考え方だ。全方位戦略とも言え投資規模は大きくなるが、世界最大の自動車メーカーであるトヨタだからこそ採れる横綱の戦略である。

マルチパスウェイの考え方。全方位のパワートレーンでカーボンニュートラルを目指す(出所:トヨタ自動車)
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 昨今、自動車業界ではカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)が大きなテーマになっている。トヨタ副社長兼最高技術責任者(CTO)の中嶋裕樹氏は「いずれはカーボンニュートラルに向けて(クルマの駆動源が)電気か水素に大別されるだろう」と予想する。