ソフトバンク 法人統括 カスタマーサクセス本部 本部長 上永吉 聡志氏(撮影:榊美麗)
2022年、ソフトバンクは法人事業の強化に向けて「カスタマーサクセス本部」を設立した。営業とカスタマーサクセスチームが一体となり、製品やソリューションの導入後も顧客企業の成功まで伴走する体制を整えた。この取り組みの核にあるのが顧客接点データだ。生成AIの活用により、商談・応対の記録量は1000倍規模に拡大したという。急増したデータを、意思決定と現場オペレーションにどう接続し顧客価値の最大化につなげていくのか。「データ起点」の顧客価値向上戦略について聞いた。
目指すのは「体験×成果による顧客の成功」ソフトバンク流の方程式
──2022年に「カスタマーサクセス本部」を新設しました。どのような狙いがあったのでしょうか。
上永吉聡志氏(以下、敬称略) カスタマーサクセスのセオリーに基づき、当社では「顧客の成功」を、「顧客体験」と「顧客成果」の両立によって実現されるものと考えています。
顧客体験と顧客成果の双方が良好な状態であれば、日々の接点を通じてお客さまとの信頼関係はより強固なものとなり、その結果として、次の提案やさらなる価値提供も前向きに受け入れていただける可能性が高まります。
法人事業で扱う商材は約800種類あります。お客さまの環境、ビジネス特性などを考慮し、その中から最適なプロダクトやソリューションを提案、提供しています。
顧客体験が優れていても、顧客の成果が伴わなければ、継続利用に影響してきます。一方、成果が得られていても、日々の利用体験に不満が残る場合、追加導入や活用範囲の拡大には踏み出していただけないかもしれません。
お客さまの事業成長により深く寄与するためには、成果という「結果」だけでなく、体験という「過程」も含めて捉え、双方を継続的に向上させることが不可欠です。こうした考え方のもと、顧客体験と顧客成果の両面を高め続けていくことを目的として立ち上がったのが、カスタマーサクセス本部です。
──実際に、どのような成果がありましたか。
上永吉 成果を測る指標として、解約率とNPS(Net Promoter Score:顧客推奨度)があるのですが、カスタマーサクセスチームの設立から1年で、解約率は0.23%低減し、NPSは3.6ポイント向上しました。
──800種類の商材の中から、個々の企業に最適なものを提案するのは容易ではないと思います。
上永吉 もちろん容易ではありません。各商材の進化は早く、先端技術を搭載した新たなサービスも次々に生まれています。お客さまに提案する以上、まず私たちが商材の特徴を細かく知っていなければなりません。そこで、心がけているのが「ファーストカスタマー」という考え方です。






