野田一夫氏(2009年、撮影:横溝敦)
大学の「初代学長」を3度も務めた男。それが野田一夫氏(1927─2022年)だ。日本にドラッカーを紹介し、アントレプレナー育成に力を注ぎ「ベンチャー三銃士の父」と呼ばれた野田氏は、90歳を過ぎてもなお、現役教育者・起業家であり続けた。
900人が集まった野田氏の“卒寿パーティー”
「南部君、君に初めて会ったのはいつだったかなあ」
この質問を何度も繰り返す。そのたびに会場は笑いに包まれた。
声の主は野田一夫氏。両隣にはHISの創業者・澤田秀雄氏とパソナ創業者の南部靖之氏。2017年5月22日に開かれた野田氏の90歳バースデーパーティーでの一コマだ。
バースデーパーティーと言ってもただの誕生日会ではない。参会者は実に900人。この人たちを前に壇上の3人が漫才か講演か分からない話で場を盛り上げる。
当初はソフトバンク創業者の孫正義氏もここに加わる予定だった。ちょうどソフトバンクビジョンファンドの立ち上げが佳境を迎えており、孫氏はサウジアラビアを訪れるために欠席となったが、それでもビデオメッセージを送っている。
乾杯の音頭は小泉純一郎元首相。そのほかにも豪華なゲストが何人も登場する非常に派手な卒寿パーティーだった。
90歳にしてこれだけの人気を誇った野田氏は、立教大学元教授にして、多摩大学、宮城大学、事業構想大学院大学で学長を務めた教育者だ。
当連載は日本に革新をもたらした名経営者を紹介するものだが、なぜ、今回教育者を取り上げるのかというと、野田氏は教育者であると同時に、いくつもの「事業」を立ち上げた連続起業家でもあるからだ。






