写真提供:プレジデント社、共同通信社

 欧米の思想や価値観、システムを輸入して驚異的な成長を遂げた日本。その輝きは「失われた30年」の間に色あせたが、世界が歴史的な転換点を迎える現在、日本を再評価する動きも出てきた。多彩なテーマを論じる脳科学者と独立研究者による対談『教養としての日本改造論』(茂木健一郎、山口周著/プレジデント社)から一部を抜粋し、日本再興への鍵となるこの国の「らしさ」を考える。

「正解を出す能力」に偏重してきた日本の教育システムは、いまや行き詰まっている。イノベーションを起こせる人材の育成に必要な教育改革とは?

突出した異分子を認めない「システムジャパン」

教養としての日本改造論』(プレジデント社)

茂木 日本って「大衆化」はめちゃくちゃ得意なんですよ。サンリオのキャラクターやアニメなんかもそうだけど、コンテンツを広めて浸透させる力はすごい。だけど、ちょっと自分たちの理解が追い付かないレベルになると、とたんに見なかったことにしてしまう。

 日本は戦国時代の“前衛アーティスト”千利休を、400年かけて盤石な家元制度に落とし込んできた国です。でも、いま僕らが欲しいのは「大衆化スキル」ではなく、「天才をそのまま受け入れる」度量の深さや謙虚さなんですよ。

 岡本太郎も、まぎれもなく異才の人でしたけど、世間は彼をテレビに出させて「芸術は爆発だ!」とか言わせて、喜んで消費してしまったでしょう。自分たちに分からないレベルのものは、自分たちの知性や感性を上げるのではなく、対象を引き下げて自分たちが咀嚼できるように落とし込んでしまう。

山口 結局、「システムジャパン」ということに尽きるんだと思います。150年前に、西欧から工学や法学などの体系化された学問を高速ダウンロードし、システム化してきた方法そのものが現代も変わらず受け継がれている。