写真提供:プレジデント社
欧米の思想や価値観、システムを輸入して驚異的な成長を遂げた日本。その輝きは「失われた30年」の間に色あせたが、世界が歴史的な転換点を迎える現在、日本を再評価する動きも出てきた。多彩なテーマを論じる脳科学者と独立研究者による対談『教養としての日本改造論』(茂木健一郎、山口周著/プレジデント社)から一部を抜粋・再編集し、日本再興への鍵となるこの国の「らしさ」を考える。
AIやロボティクスで世界に後れをとる日本。来たるべき第五次産業革命において「勝ち筋」を見出すには、どんな変革が必要なのか。
21世紀「無秩序の秩序化」が進んでいく
『教養としての日本改造論』(プレジデント社)
茂木 先日システム生物学者の北野宏明さん*61と話したら、彼は「日本はロングテールで生きていくからいいんですよ」と言っていました。日本は決して世界の最前線に躍り出て、プラットフォームビジネスを構築したり、世界経済を牽引したりするようなポジションは得られない。ガラパゴス的に独自の生き残り戦略を描き、ひたすら細く長く、各国の生き残り合戦の末端にしぶとく生き残り続ける…そんな道もあるということです。
現在、産業の最前線であるヒューマノイドの分野では、日本はほとんど世界のサプライチェーンから外れてしまっていますよね。能力的に世界水準から遠く離されている。
実際、20~30年前の日本のロボティクス分野は世界でもトップレベルでしたが、いまや見る影もない。とても残念ですが、それが現実です。国も企業も研究機関も、そうしたニッチな基礎研究に資金を投資し、腰を据えて長い視野で育て上げることができなかった。要するに日本の知性の劣化が原因です。このあたりはどうお考えになりますか。
*61 北野宏明 1961年生まれ。日本の研究者。ソニーグループの常務CTO(最高技術責任者)などを務める。ロボットの自律型国際競技会「ロボカップ」や、AIが科学的発見を自律的に行う「AI科学者」の実現を目指す「ノーベル・チューリング・チャレンジ」を提唱している。
来るべき第五次産業革命に日本は参戦できるか
山口 おおむねのところで賛成ですが、その質問に答える前に、「人間VS機械(ロボット・AI)」の関係性について振り返ってみましょうか。







