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 内燃機関は本当に時代遅れなのか。電動化が進む自動車業界で、エンジン技術はなお進化を続けている。環境規制や電気自動車(EV)化の潮流を踏まえながら、熱効率向上や新燃焼技術の開発の最前線に焦点を当て、エンジン復権の可能性を問い直す『エンジンの逆襲』(伏木幹太郎著/日経BP)から内容の一部を抜粋。日本が誇るエンジン技術の底力と中国のEV戦略を探る。

 EVシフトの裏で欧州が手放したエンジン技術を吸収し、吉利汽車(ジーリー)はプラグインハイブリッド車(PHEV)で存在感を高める。中国勢はどこまで内燃機関を進化させるのか。

※記載されている事実関係は、刊行当時のものです。

吉利が欧州エンジン取り込み、BYDを猛追

エンジンの逆襲』(日経BP)

 BYDを追いかける一番手が吉利汽車(ジーリー)だ。M&A(合併・買収)を駆使して欧州勢のエンジン技術などを取り込んでいる。

 2010年代後半から欧米勢がEVシフトに向かう過程でエンジン部門や技術者を手放してきた。吉利は機を逃さずに取り込み、この数年で一気にエンジン技術をものにしつつある。吉利の元技術者である島崎勇一氏は「欧州の自動車メーカーやエンジニアリング会社から引き抜かれたエンジン技術者が多くいた」と明かす。

 2015年に明らかになったドイツのフォルクスワーゲン(VW)によるディーゼル車の排ガス不正事件をきっかけに、欧州は大きくEVシフトへかじを切った。

 当時、スウェーデンのボルボが2030年までにラインアップを完全EV化することを発表。ドイツのメルセデス・ベンツグループは「2030年までに市場が許せば全車EV化」、同アウディも2033年にエンジン車の生産を終了することを掲げた。フランス勢ではルノーが欧州新車販売の全てをEVにすると宣言。各社がEVシフトへ前のめりになっていた。