李世民

 約1800年前、約100年にわたる三国の戦いを記録した歴史書「三国志」。そこに登場する曹操、劉備、孫権らリーダー、諸葛孔明ら智謀の軍師や勇将たちの行動は、現代を生きる私たちにもさまざまなヒントをもたらしてくれます。ビジネスはもちろん、人間関係やアフターコロナを生き抜く力を、最高の人間学「三国志」から学んでみませんか?

司馬懿親子の謀略で、最後は滅亡する三国の悲劇

 三国志は、3人の君主である曹操、劉備、孫権の戦いであることはよく知られています。しかし、三国すべてが最終的に司馬一族に滅ぼされたことはあまり知られていません。蜀は263年に滅亡しましたが、その時にはすでに魏の実権は司馬昭に移っていました。

 280年の呉の滅亡のときには、すでに国が魏ではなく晋となっていました。晋の初代皇帝司馬炎は、魏につかえた司馬懿の孫であり、司馬懿を含めた司馬氏の3代のあいだに、三国の英雄たちが残した国は、すべて司馬一族によって統治されることになったのです。

魏・呉・蜀の後継者から導く、避けるべき3つの事業承継

 過去の記事では、魏・呉・蜀の初代から滅亡までを分析し、彼らが次世代に権力を移すときに、3つの失敗をしたと判断していました。

【魏・呉・蜀から学ぶべき、事業承継の失敗】

①親の人生目標を、そのまま(相手を見ずに)押し付けない:蜀の劉備

②兄弟の序列をいたずらに変更しない:呉の孫権

③次世代の不和を加速させるような条件をつけない:魏の曹操

 蜀帝国を創り上げた劉備の死後、後継者である劉禅はことあるごとに先主の劉備と比較され、彼に欠けている部分を指摘され続けました。

 呉の孫権は、子供たちの生まれた順序を顧みず、後継者と四男(孫権が溺愛していた)を同格にしたため、お家騒動が起きて呉の滅亡を早めてしまいました。

 魏の曹操は、2代目となる曹丕を選ぶまでに、兄弟間でだれがもっともすぐれているか、常に競争させていました。結果、曹丕は同族の兄弟を恨むようになり、曹丕の時代から一族はばらばらになっていきます。

 先の①から③の避けるべき落とし穴を、逆転させると以下のようになります。

①次世代には、次世代に最も適する目標を掲げさせる

②兄弟の序列を守り、誰が後継者になるか明確にしておく

③兄弟親族間の争いを生まず、彼らには競わせるのではなく、団結させる

 これは事業承継においても、ある種の最適解に見えなくもありません。実際、この3つの落とし穴は、事業を次世代に受け継ぐときには、非常に難しい問題を生み出すと思われるからです。ただし、今回の記事では他の中国帝国と比較した分析も追加してみましょう。