ハーバード大学経営大学院教授のフェン・ジュ氏(撮影:榊水麗)

 GAFAMをはじめとする巨大テクノロジー企業、いわゆる「ビッグテック」が、金融や小売、製造業など既存産業へ次々と進出している。近年、伝統的な大企業がDXに本腰を入れている背景には、こうしたビッグテックが自社市場へ進出してくることへの危機感がある。ビッグテックはどれほど既存企業にとって脅威なのか。どうすれば、ビッグテックに負けない商品・サービスを作り上げることができるのか。ハーバード大学で競争戦略を研究するフェン・ジュ氏に話を聞いた。

年々強まるビッグテックの脅威

──フェン教授はハーバード大学で、ビッグテックと呼ばれる巨大テクノロジー企業が既存企業の存続を脅かす過程を約20年にわたって研究しています。いつごろから、ビッグテックによるディスラプション(創造的破壊)に気付いたのですか。

フェン・ジュ氏(以下、敬称略) 2014年から 2015年ごろからGAFAMは伝統的産業に進出し、常識から外れた戦略を実行し、既存企業ではマッチできなかったテクノロジー関連商品やサービスを展開していくようになります。

 一旦ビッグテックが参入可能だと判断すると、瞬く間に新機能を付与し、圧倒的なスピードと規模でサービスを高度化させるため、既存企業は立ち行かなくなる可能性があります。

 ところが、伝統的な大企業であっても独自のコンピテンシー(競争優位性)を発揮し、デジタル技術も新たに取り入れることで、ビッグテックに打ち勝つことも可能なのではないか。これらの企業のケーススタディーは、DXに臨む全ての企業にとって参考になると考えたのです。