海外市場で存在感を高めるTSMCとフォックスコン。日本企業が直面した課題を浮き彫りにする存在でもある
写真提供:ロイター=共同、Ceng Shou Yi/NurPhoto/共同通信イメージズ

 日本企業では、マーケティングが経営機能として十分に位置付けられてこなかった。その結果、海外市場での競争や成長戦略に課題を抱えるケースも少なくない。本稿では、BtoBマーケティングの現場を30年以上見続けてきたシンフォニーマーケティングの庭山一郎氏が、日本企業に共通する構造的な問題と、近年見え始めた変化の背景を読み解く。

日本のBtoB企業にCMOが少ない理由

 2025年の秋にドイツでBtoBマーケティングの国際会議に出席し発表をするために、弊社のチームが、BtoBビジネスを主としている日本の上場企業のうちの約1100社を対象に、CMO(チーフマーケティングオフィサー)保有割合を調査しました。

 その中でCMOまたは、管掌業務に「マーケティング」が入っている取締役を調査しました。すると驚いたことにわずか7%の企業しかCMOを置いていませんでした。同じ調査を米国や欧州のBtoB企業で行えばCMO保有率は100%になるでしょう。宣伝広告や広報とは別にマーケティング部門を置いている企業がいまだ20%弱ですから、当然といえば当然です。(2025年3月 シンフォニーマーケティング調べ)

 ではなぜマーケティング部門もCMOもいない企業がこんなに多いのでしょうか? これが連載の第1回で書いたアンゾフマトリクスで説明される構造で、実は、日本のBtoB企業の多くは、「既存顧客×既存商材」で上がる特定少数の顧客の売り上げに依存しています。

「売り上げの引き合い依存」なのです。

 2010年代に入って、こうした依存状態が普通ではないことに真っ先に気が付いたのが製造業でした。日本の製造業の海外売上比率は増える一方です。国内ではしっかりした顧客基盤や営業基盤を持っているので盤石ですが、海外に出て行くと多くは壁にぶつかります。その壁が何なのかを調べると意外な事実が分かりました。