写真提供:©Kobe Li/Nexpher via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ

 5Gをめぐる期待と失速、通信規格の進化による新規ビジネスの台頭、異業種の参入など、通信業界は今、前提そのものが書き換わる大転換期にある。大手の優位はなぜ揺らぎ、新興勢力はどこに勝機を見いだすのか。政策・技術・経営戦略を横断し、日本の通信市場の構造と未来像を読み解く『通信ビジネス』(石野純也著/クロスメディア・パブリッシング)から内容の一部を抜粋。

 技術力と価格競争力でシェアを伸ばしたファーウェイをはじめとする中国ベンダーは、なぜ日本市場から姿を消したのか?

中国ベンダーの通信機器はなぜ日本から消えたのか

通信ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)

 基地局を開発している通信機器ベンダーは、主に北欧と中国に分かれています。前者ではノキア、エリクソンがツートップ。後者では、ファーウェイの存在感が非常に大きくなっています。この3社だけで、グローバルシェアの75%前後を占めていると言われています。

 韓国のサムスン電子、中国のZTEと比較的メジャーな会社も存在するものの、十分なシェアは取れていません。日本では、1FinityやNECなどが基地局を開発し、大手通信事業者に納入しています。

 中でも急速にシェアを伸ばしてきたのが、中国のファーウェイです。2009年の世界シェア(金額ベース)は13%弱でしたが、その後、4Gの台頭に合わせて成長。2014年には19.8%までシェアを伸ばし、基地局ベンダーではシェア2位になりました。同社の勢いはその後も衰えることはなく、2019年にはエリクソンを抜いてトップシェアを獲得しています。

 国内ベンダーが比較的強かった日本でも、ソフトバンクなどの通信事業者が基地局を採用しており、主にTD-LTEと呼ばれる技術に対応した製品が活用されていました。TD-LTEは、中国ベンダーが主導して標準化された規格です。