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上位2割のリピーターが売り上げの8割を占有――この「定説」がマーケティング戦略を誤らせる。ブランドの持続的成長には、ロイヤル顧客の育成だけでなく、無関心層や浮動層の獲得が欠かせない。『“未”顧客戦略』(村山幹朗、芹澤連著/日経BP)から一部を抜粋。未顧客市場の攻略に不可欠な視点や思考を解説する。
新しい商品・サービスを使いたい気持ちがありながら、気付けば元の習慣に戻ってしまう――消費者のこの「ハビットスリップ」を、企業はどう防げるか?
「ハビットスリップ」を防ぐ製品&コミュニケーション設計
『“未”顧客戦略』(日経BP)
せっかく買ったのに、結局一度も使わずタンスの肥やしになっている――そんな経験はありませんか? このような、新しい商品やサービスを使う意図があるにもかかわらず、無意識のうちに古い習慣に戻ってしまう現象のことをハビットスリップと言います(Labrecque et al., 2017)。
研究者らによると、購入されたのに使われなかった製品の約4分の1が、このハビットスリップが原因でした。購入時は良さそうだと思えても、実際に使ってみると何かしら都合が悪い、生活の流れと合わないといった「既存習慣との衝突」が原因です。
例えばラブレックほか(2017)では、買ったばかりのエクササイズバイクが「物干し竿」になってしまう例が挙げられています。これはまさに筆者の家でも起こっていることです。
なぜそうなるかと言うと、「運動はジムでするもの」あるいは「外で行うもの」という根強い認識があるからです。そもそも運動の習慣自体があまりない人もいるでしょう。一方、リビングは帰宅時に最初に向かう場所であり、当然荷物を置いたり服を脱いだりすることもあります。そのためリビングに運動バイクがあっても、「とりあえず服を掛けておく」「物を置いておく」という習慣が優先されてしまい、物干し竿と化すのです。







