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組織の意欲向上や目標達成のため、多くの企業が導入している報酬制度。一方で、運用を誤ると、従業員の行動を思わぬ方向に導いてしまうこともある。行動経済学の第一人者による『インセンティブが人を動かす』(ウリ・ニーズィー著/児島修訳/河出書房新社)から内容の一部を抜粋し、効果的なインセンティブ設計のポイントを考察する。
ライドシェア企業Uberが採用する「出来高制」は、業務意欲を高める一方で、サービスの質の低下を招きやすい。では、なぜライドシェア参入後にタクシーの苦情は減ったのか。「業務の効率性」と「優良サービスの提供」を両立するヒントを探る。
Uberの成功例
『インセンティブが人を動かす』(河出書房新社)
ドライバーへの報酬基準を設定するときは、バス会社は効率性、安全性、快適性のどれが重要かをよく考えなければならない。それぞれが相対的にどのくらい重要かを見極め、自社の目標とドライバーの目標を一致させるインセンティブを設定して、混合シグナルを避けるようにすべきだ。あるいは、同時に質の側面に取り組むための創造的な解決策を見つけることもできる。
次のセクションでは、ライドシェアに関する大規模なフィールド実験を通してその方法を見ていこう。
まず、よくある地元のタクシー会社を例に取ろう。このタクシー会社の運転手であるサムは、時間給ベースで給料をもらっている。固定給で働いている彼が、「どこに行けば客を拾いやすいか」を戦略的に考えることへの強いモチベーションを持っていないのは想像がつく。また、彼は運転に時間を費やす代わりに、長い昼休みを楽しんでいる。サボっているところを誰かに見つからない限り、どれだけ長く、懸命に働いたとしても、給料は変わらないからだ。
次に、Uberでドライバーをしているケイトに注目してみよう。彼女や他のUberドライバーは、サムとは対照的だ。報酬のシステムは出来高制で、乗客から受け取った料金からUberに支払う手数料を割り引いた額が彼女の懐(ふところ)に入る。







