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上位2割のリピーターが売り上げの8割を占有――この「定説」がマーケティング戦略を誤らせる。ブランドの持続的成長には、ロイヤル顧客の育成だけでなく、無関心層や浮動層の獲得が欠かせない。『“未”顧客戦略』(村山幹朗、芹澤連著/日経BP)から一部を抜粋。未顧客市場の攻略に不可欠な視点や思考を解説する。
消費者の8割は、「買おう」と思う前にブランドを決めている。「購入時に勝負する」という前提でマーケティングの4P(商品、価格、流通、広告)を設計しているなら、マーケターは見直す必要があるかもしれない。
市場に入ってきた時点で7〜8割方のブランド選択は決まっている
『“未”顧客戦略』(日経BP)
ブランドレベルではどうなのでしょうか。近年では、無意識の選択の瞬間を解像度高く捉えた実証研究も色々と出てきています。
例えば最新のモバイル型アイトラッキング機器を用いたあるスーパーマーケットでのフィールド研究によると、「比較などは一切行わずお目当てのブランドを一直線に買う」という選択行動が店頭購入の約7割を占めることが明らかにされています(Machín et al., 2020)。
つまり棚の前で「今日はどれにしようかな」と悩んだり、機能やコスパを比較したりするケースも3割程度はありますが、大半の消費者は「いつものブランド」を直接的に取りに行っているわけです。事前想起がなければ、このような選択行動は物理的に不可能です。
最新の研究としては、英オックスフォード大学のフェリーぺ・トーマス教授とWPP Mediaの共同研究が挙げられます。教授らは100万件以上のカスタマージャーニーデータ(10年分、72のメディアタッチポイントを含む)を分析し、「市場に入ってくる前に購入意思決定が事実上済んでいる」と考えられるケースが実に84%を占めることを速報として伝えています(Thomaz et al., 2025; Bowden,S., 2025)。つまり、ブランド選択の大部分は未顧客期間に決定しており、顧客期間(購買時)に競合と奪い合いになる“未決”のカスタマージャーニーは16%程度しかいないということです。







