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グローバル化とデジタル化が進む中、変化の激しい時代に対応するため、歴史や哲学を含むリベラルアーツ(教養)の重要性が再認識されている。本連載では、『世界のエリートが学んでいる教養書 必読100冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)の著書があるマーケティング戦略コンサルタント、ビジネス書作家の永井孝尚氏が、西洋哲学からエンジニアリングまで幅広い分野の教養について、日々のビジネスと関連付けて解説する。
FIREで「お金からの自由」を得ても、幸福を感じられない人がいるのはなぜか。心理学者エーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』(東京創元社)から、その理由を読み解く。
FIREを目指す人たち
「お金から自由になろう」「FIREで精神の自由を」
若くして経済的に自立し早期退職を目指すFIRE(Financial Independence, Retire Early)ムーブメントが広がっている。例えば年間400万円の不労所得を目指し、まず資産1億円をつくって投資利回り4%で回す、というのがその方法だ。
多くの人がFIREを目指すのは、つらい会社の仕事から自由になりたいからだ。では「FIREで本当に幸せになるのか」といえば、必ずしもそうなっていない人たちも少なくない。
・仕事が激務なので、FIREして念願の悠々自適な生活に入った。しかし半年もすると、ランチを一緒に食べる相手もいない単調な生活に。そこで生活のメリハリのために再就職。
・お金をためて「もう二度と働かない」と退職したが、家に閉じこもりがちになり軽いうつ状態に。
FIREで念願の自由を得たのに、なぜこうなるのか? エーリッヒ・フロムの著書『自由からの逃走』(日高六郎訳、東京創元社)に、この謎を解くヒントが書いてある。本書は本当の自由とは何か、そして人間の自由と社会はどんな関係にあるのかを深く考える一冊である。
著者のフロムは1900年ドイツ生まれのユダヤ系心理学者だ。ナチスがドイツで政権を獲得後、1934年に米国に移住。そして第二次世界大戦に米国が参戦した1941年に本書を刊行した。






