レアアース貿易圏の構築をぶち上げたトランプ政権(写真:UPI/アフロ)
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(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

 米国は2月4日、希土類元素(レアアース)に代表される重要鉱物の安定的な供給を目指し、日本や欧州連合(EU)など55カ国・地域が参加した初の閣僚級の会合をワシントンで開催した。米トランプ政権からは、J・D・バンス副大統領のほか、マルコ・ルビオ国務長官やジェイミソン・グリア通商代表部(USTR)代表らが参加した。

 米国はかねてより、中国がレアアースを独占的に供給している現状に対して強い危機感を有している。また米国は、中国のレアアースが市場の適正価格よりも不当に安く設定されているとも批判する。そこで、米トランプ政権は米日欧が中核となり、不当廉売されている(と米国が主張する)中国産レアアースの流入を防ぐべきだと訴えている。

 バンス副大統領らのコメントを総合すると、米トランプ政権は以下のような構想を描いているようだ。レアアースの最低価格を設定し、不当廉売されているレアアースの流入を防ぐ一方、米欧日は自主鉱山の開発や再利用体制を整備して、中国に左右されない供給網、つまるところレアアース貿易圏の構築を目指すというものである。

 とはいえ、この構想は実現可能性に乏しい。そもそも自主鉱山の開発や再利用体制の整備というコンセプトそのものは、EUで先行して打ち出されている。いわゆるERMA(欧州原材料同盟)構想や2024年に発効したCRMA(重要原材料法)での取り組みだが、ハードルは高く、EUはレアアースの多くを中国からの輸入に依存したままだ。

 そもそも、米トランプ政権がイニシアチブを取ること自体がこの構想の難点と言える。トランプ政権の発足とともにEUと米国の関係は悪化したし、各国とも米国との距離を広げるようになっている。まさに“唯我独尊”を地で行く米国の提案に同調する国がどのくらいあるか、定かではない。例外は、それこそ日本くらいではないだろうか。

 それにこの構想から透けて見えるのが、グリーンランドの帰属を巡る米国の野心である。