米国も中国と同じ穴のムジナ
懸念されるべきは、一連の米国による構想が、レアアース価格の上昇につながる恐れである。構想に反発する中国がレアアースの供給を絞るというよりも、むしろ米国が各国に対してこの構想への参加を半ば強制するような展開となることで、各国が中国産レアアースを調達できなくなり、レアアースの価格が跳ね上がる可能性が意識される。
あるいは、レアアースの自主鉱山を開発する動きが各国で加速することも、レアアースの価格を中長期的に押し上げる方向に働くのではないだろうか。レアアースそのものは、世界のあらゆるところに存在する。問題はその精錬までの環境コストや人権コストが莫大なことにあり、それらを負担できるのが中国だけというのが実情のところだ。
自主鉱山を開発し、自ら精錬する国が増えるとして、各国は環境コストや人権コストを負担するのだから、当然、レアアースの価格は上昇することになる。そうしたコストを、果たして各国は本当に負うことができるのだろうか。それよりも、何とかして中国からレアアースを調達するほうが、政治的にも経済的にも合理性は高いかもしれない。
仮に米国がレアアースの生産力を高めたとして、米国からレアアースを調達することになれば、レアアースをテコとした米国からの圧力が強まる可能性が出てくる。それこそ、各国にとっては中国依存の二の舞いとなるリスクが出てくる。米国が信用たる存在であると各国が認識しなければ、このレアアース貿易圏が機能するとは考えにくい。