「ドンロー主義」を掲げ、戦線を拡大し続けるトランプ米大統領(写真:ロイター=共同通信社)

米国家防衛戦略でも念押しした「最重要守備範囲」

目次

 アメリカのトランプ大統領による「ドンロー主義」の“進軍ラッパ”が止まらない。

 今年1月初め、南米大陸随一の反米・親中ロ国家であるベネズエラを奇襲。同国大統領を拘束し、瞬時に親米路線への転換圧力が強まった。背景には中ロの影響力の排除、特に中国の進出抑止の思惑が見え隠れする。

 トランプ氏が猛進するドンロー主義とは、アメリカが“世界の警察官”のバッジを捨て、西半球/南北米大陸に閉じこもるという、単なるモンロー主義(欧州が南北米大陸へ、アメリカは欧州へ相互に不干渉)の焼き直しではない。

 むしろ中国封じ込め戦略の根幹で、「灯台下暗し」をなくすため、アメリカの裏庭である西半球から中ロを駆逐するのが先決──との発想のようである。

 それは1月23日に米国防総省が発表した、第2次トランプ政権初の国家防衛戦略(NDS:National Defense Strategy)でも明らかだ。

 米本土と南北米大陸の防衛を第一に掲げ、報告書では〈アメリカはもはや西半球における重要地点へのアクセスや影響力を、他国に譲ることはない。国防総省は北極から南米に至るまで、特にグリーンランド、アメリカ湾(メキシコ湾)、パナマ運河で、アメリカの軍事的・商業的アクセスを保証するための、信頼のおける選択肢(装備や作戦など)を大統領に提示する〉と謳う。

トランプ政権によるデンマークの自治領グリーンランド領有の動きに反発し、コペンハーゲンで発生した大規模な抗議デモ(2026年1月17日、写真:ロイター=共同通信社)

 これを踏まえると、トランプ氏の矛先は、「解決済み」のパナマ、ベネズエラに加え、現在噛みついているグリーンランド、カナダ、メキシコ、コロンビア、キューバなどや、さらなる戦線拡大も十分予想される。

トランプ米大統領が自身のSNSに投稿したグリーンランドに米国旗を立てるイラスト風の画像。トランプ米大統領(右)の後ろに立つのはバンス副大統領(左)とルビオ国務長官(写真:トゥルース・ソーシャルより)