喉から手が出るほど欲しいグリーンランド(Bernd HildebrandtによるPixabayからの画像)
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2026年1月7日付)
米大統領首席補佐官のスーザン・ワイルズによれば、ドナルド・トランプは酒こそ飲まないが、「アルコール依存症のような性格」だ。
何かに依存する性格の人は、リスクを取らずにはいられないことが多い。気分が良くなることをすれば、痛みを先送りできる。
トランプの場合、その痛みはますます国内で感じられるようになり、その治療は国外にある。
国内の状況が厳しくなればなるほど――支持率は低く、改善の兆しが全く見えない――、国外に活路を見出したい気持ちは強くなる。
ほぼすべての米国大統領が任期が終わりに近づくにつれて外交政策に重心を移すことは、トランプについては参考にならない。彼は米国の裁判所の判決よりも国際法の建前の方がはるかに回避しやすいことを学んだ。
1月3日にベネズエラのニコラス・マドゥロを拉致するよう命じた理由の説明で、トランプは米国で逮捕状が出ていたことに言及した。
米国の司法から逃亡した犯人を捕まえるために、令状の執行権を持つシェリフ(保安官)をジャングルに派遣したというわけだ。
これが見事に成功した。標的に武力で勝っている限り、成功は確実だ。
グリーンランドに対する執着
米国の軍事力を誰にもとがめられずに行使できることに、トランプはますます自信を深めている。これではデンマークが不安になるのも無理はない。
マドゥロの拉致以降で初めて姿を現した4日、トランプは誰かに促されたわけでもないのにグリーンランドに言及した。その後も何度か、グリーンランドが「米国には必要だ」と繰り返し明言している。
デンマーク首相のメッテ・フレデリクセンは「グリーンランドを領有する必要性について語るなど、絶対に理にかなっていない」と述べている。
これに対してトランプは、米国の安全保障にはグリーンランドが欠かせないと繰り返すばかりだ。
「デンマークが先日、グリーンランドの安全保障を強化するために何をやったか知っているか」とトランプは問いかけたうえで、「犬ぞりを1台増やした」と言った。
それほどまでに執着しているトランプは、クリスマスの直前にルイジアナ州知事のジェフ・ランドリー(共和党)をグリーンランド担当特使に任命した。
ランドリーはこれを受け、「グリーンランドを米国の一部にするためのこのボランティアの役職にて力を尽くすことを光栄に思う」と語った。
トランプは昨年、相手から招かれもせずに副大統領のJ・D・バンスをグリーンランドに派遣し、現地を調査させた。
トランプはただ注目を浴びようとしているだけだと確信している向きは、休暇をベネズエラの首都カラカスで過ごすよう予約すべきだ。