米司法省が公開したエプスタイン文書の一部、彼の人的ネットワークが記されている(2月6日撮影、写真:AP/アフロ)
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2026年2月7・8日付)
時折、1脚のテーブルがすべてを物語ることがある。
ジェフリー・エプスタインが住んでいたニューヨーク・マンハッタンのタウンハウスには、年代物のコンソールテーブルが壁に取り付けられていた。その上に並べられた十数個のフォトフレームには、世界的な有名人の写真が収められていた。
民主党の大統領と共和党の大統領もいれば、左翼の知識人と扇動的な右翼活動家もいた。
ウォール街やシリコンバレーの大物、英国王室の一員、さらにはミック・ジャガー、フィデル・カストロ、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の写真まであった。
エプスタインの物語の中核部分は今後もずっと、性虐待者のネットワークとその餌食になった女性、少女たちであり続けるが、米司法省が新たに公開する電子メールの文面はすべて、エプスタインが驚くほど広い社交ネットワークや人間関係を維持する能力を備えていたことを浮き彫りにする。
そのやり取りは、さながら世界の最上層0.01%向けの自助グループのようだ。
ニューヨーク・ブルックリンの中産階級の家庭に生まれ、大学を中退したこの人物は果たしてどのようにこれを成し遂げたのか。
欲求を見抜いて満たしてやる類い稀な能力の持ち主
公開されたメールから浮かび上がるのは、世界有数の富豪や権力者が欲しがっているものや必要としているものを正確に見抜き、それを満たしてやる類い稀な能力を持った人物の姿だ。
エプスタインは未成年者を売春に勧誘した罪で2008年から13カ月間服役した後でさえ、これをやり続けた。
そうした関係をカネ、情報、そしてさらに深い関係をもたらす源泉に変えることができた。これは2019年に逮捕され、拘置所で死去するまで続けた一種の社交ポンジスキーム(ねずみ講)だ。
知り合いになったエリートたちのニーズは様々だった。
それらを満たすためにエプスタインは親友になったり、紹介状の仲介者になったり、さらに豪華なライフスタイルへの入り口になったり、銀行家にさえなったりすることができた。
米検察当局によれば、「性的虐待や搾取の犠牲になる未成年者の複数の州にまたがるネットワーク」も構築していた。