右翼活動家のバノンにも紹介
2019年にエプスタインの行動に対する疑問が次々噴出すると、友人たちはますますアドバイスをよこすようになった。
極右のナショナリストで、ドナルド・トランプの政権1期目の首席戦略官だったスティーブ・バノンは、エプスタインのイメージ回復のために、チョムスキーをはじめとする著名な知人へのインタビューを盛り込んだドキュメンタリー番組の制作を提案した。
エプスタインは「彼(チョムスキー)より左寄りの人はいないし、君より右寄りの人もいない。それこそヒトラーとガンジーみたいなものだ。1個のホットドッグを分け合いながら」と返信した。
エプスタインはこれ以前に2人を引き合わせていた。「ジェフリーからアドレスを教えてもらった」。チョムスキーはバノンにこうメールを送った。
「近いうちに何か別のことをアレンジできるといいと思っている。話すことがたくさんある」
「同感」。バノンはそう返信した。「是非交流したい」。
大使辞任に追い込まれたマンデルソンとの関係の深さ
司法省が先日公開した文書からは、エプスタインが様々な銀行を介して、ほかにも著名人に送金していたことが明らかになっている。
例えばJPモルガンの場合、エプスタイン関連の取引を4700件処理し、その額は計10億ドルを超えた。
JPモルガンに開かれていたエプスタインの口座からは、英国労働党の政治家ピーター・マンデルソンへの2万5000ドルの送金が3回行われている。
いずれも英政府閣僚を退任してから欧州連合(EU)の欧州委員(通商問題担当)になるまでの間の取引だ。
マンデルソンがビジネス相を務めていた2010年にユーロ圏救済のために5000億ユーロの支援枠を設ける秘密計画が漏れた際には、これが事実であることを認め、政策は「今夜発表される予定」だとエプスタインに伝えた。
2月に入ると、昨年駐米大使を一時務めていたマンデルソンとエプスタインのつながりが明らかになったことで、すでに厳しい立場に置かれていた英首相、キア・スターマーへの風当たりが強くなった。
電子メールの記録によれば、マンデルソンは世界金融危機後に英国政府が計画した銀行幹部のボーナスへの課税についても語り、エプスタインはそれを骨抜きにするよう働きかけた。
マンデルソンはそれに対し「がんばっている」と応じた。ダウニング街(首相官邸)で複数の私案がまとまった後、エプスタインは「ジェスより先」に計画について話を聞きたいとマンデルソンにせがんだ。
ジェス・ステイリーは当時、JPモルガンの投資銀行部門のトップを務めていた。
彼は2008年、エプスタインが未成年者を売春に勧誘した罪で服役していた時に、JPモルガン最高経営責任者(CEO)のジェイミー・ダイモンに給料をいくらほしいと言えば良いだろうかと尋ねている。
これに対してエプスタインは、年間2500万ドルまで100万ドルの昇給を要求するよう告げた。ステイリーは同じメールで、刑務所にいるエプスタインに「君が近くにいないと退屈だよ」と書いている。