米領ヴァージン諸島にある、エプスタイン元被告がかつて所有していたリトル・セント・ジェームズ島(2025年11月29日撮影、写真:ロイター/アフロ)
目次

(英フィナンシャル・タイムズ紙 2026年2月7・8日付)

前編「世界有数の富豪や権力者の欲求を満たし、人脈をカネと情報、さらなる交友関係に変えた男」から読む

 ステイリーは昨年、英国の裁判所に出廷した際、エプスタインを顧客にし続けるようJPモルガンに働きかけたことがあると述べた(ジェス・ステイリーは元JPモルガンの投資銀行部門のトップ=前編参照)。

「人身売買」の懸念があることを受けてエプスタインとの取引を打ち切ることを同社幹部が検討していた2011年のことだった。

 だが、JPモルガンが同じ懸念に基づいてエプスタインに関係する疑わしい取引の報告書(SAR)を当局に提出したのは2019年になってからだ。

 そこではプライベートエクイティ会社アポロ・グローバル・マネジメントの共同創業者であるレオン・ブラックなど、ウォール街の大物たちとの取引に焦点が当てられていた。

エプスタインはどこからカネを得ていたのか?

 エプスタインの遺産管理組織から文書が新たに公開されるたびに、著名な個人への送金の詳細が明らかになっていく。

 だが、エプスタイン本人がどこからカネを得ていたかは、1件の例外を除き、謎に包まれたままだ。

 アポロ・グローバル・マネジメントのブラックがエプスタインに出会ったのは1990年代のこと。

 エプスタインはこの富豪に芸術、出版、税務などについての助言を始めた。これらの分野における正式な資格など、一切なかったにもかかわらずだ。

 報道機関からの圧力にさらされ、ブラック本人からも要請を受けた後、アポロは2020年にブラックとエプスタインの関係を調べ始めた。

 その結果、ブラックがエプスタインに1億5800万ドルを支払っていたことが判明した。

 ブラックの弁護士はこれを2012年から2017年にかけて提供された「税務アドバイスと相続計画」の対価だと話しており、この間にブラックは「エプスタインの犯罪行為のことなど一切知らなかった」と付け加えている。

 だが、連邦議会上院の金融委員会は2023年、エプスタインが公知に属する内容やブラックの弁護士たちから得た情報を税務アドバイスとして提供し、その対価を請求していたと断じた。

「説明がつかないほど支払い額が大きい。ブラックがほかのどのファイナンシャルアドバイザーに支払った金額をも大きく上回るし、当時のフォーチュン500社のCEOが得ていた報酬の中央値よりもはるかに高い」

 そして、これらの支払いの理由についてブラックに聞きたいことがまだあると付け加えた。