ミュンヘン安全保障会議に出席し日本を厳しく批判した中国の王毅外相(2月14日、写真:ロイター/アフロ)

高市発言の影響

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 昨年11月上旬、高市早苗首相の国会における存立危機事態に関する答弁等を中国指導層が問題視したことを機に日中関係が悪化している。

 その後、中国政府は日本政府関係者との接触をすべて拒絶しているほか、中国の大学、シンクタンク等も日本政府関係者の接触を拒絶している。

 日本人アーティストの中国国内でのコンサート、主要な経済団体の訪中、経済・文化交流に関する各種イベント等もすべて中止、中央・地方政府主催の公式会議における日本企業の出席・発言もほぼ拒絶されている。

 いったん解禁された日本の水産物輸入も再び禁止された。

 こうした日中関係悪化の深刻な影響は日本国内のメディア報道で頻繁に伝えられているため、筆者も理解していた。

 日本政府関係者や中国専門家の間でも、今回の問題は中国政府が核心的利益と位置付ける台湾の問題に関わるため、尖閣問題の時よりも中国政府の対応は厳しく、問題は深刻だという理解が共有されている。

 そうした理解を念頭に今年1月後半、定例の中国出張で北京、成都、上海を訪問した。

 筆者の理解では、日本政府、経済団体、アーティスト等がこれほど厳しい対応を受けているのであれば、中国現地駐在の日本人はもっと厳しいリスクに直面している。

 具体的には、街中を歩いていても、いつ見知らぬ中国人に襲われるか分からないため街中を安心して歩けない、家族を含めて外出を極力抑制する、人目につくところで日本人同士では集まらないように注意する、といった状況だろうと想像していた。

 海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した尖閣問題が起きた後の中国では、どこに行ってもそうした話を聞かされたからである。

 また、日本企業の中国ビジネスも不買運動による売上高の減少など、大きなダメージを受けているだろうと想像していた。