脱落したタイヤの直撃を受け意識不明になっている女の子が事故直前に描いたお父さんの似顔絵(被害者提供)
「もう、二度と運転はしません…」。悪質な行為で重大事故を起こした加害者の多くが、刑事裁判の法廷でそう述べ、裁判官はこの言葉を「反省」ととらえて減刑する。しかし、いざ執行猶予を勝ち取ると、何食わぬ顔でハンドルを握る者たちがいるのも現実だ。法廷での嘘、うわべだけの贖罪に、怒り、苦しむ被害者遺族たちの訴えをノンフィクション作家の柳原三佳氏が取材した。
被害者の娘は3年目の今も意識不明、「もう運転はしない」と言った加害者は再び…
2月10日の夕方、札幌に住む交通事故被害者(当時4歳女児)のお父さんから、動揺した声で電話が入りました。
「実は今日、執行猶予中の加害者が、無免許運転で逮捕されたそうなんです。裁判では、『再び運転しない。運転免許は返納した。自分に運転する資格はない』などと言っていたのに……」
お父さんによれば、過失運転致傷のほか車を不正改造した罪に問われ、2025年4月に懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を受けていた若本豊嗣容疑者(52)が、無免許にもかかわらず、昨年末、自分名義の軽トラックを複数回運転。「仕事をするためだった」と供述しているというのです。
電話の向こうから聞こえる、失望と怒りが入り交じったその声を聞きながら、私は、『やはりこの日が来たか』と、忸怩たる思いを感じていました。実は昨年末、私のもとにもこの男の無免許運転情報が匿名で寄せられていました。しかし、北海道は遠く、張り込み取材などは不可能で、結局、警察の捜査が進むのを待つしかなかったのです。
2023年11月に発生した本件事故については、昨年、以下の記事で報じたとおりです。
【参考】
・改造車の脱落タイヤ直撃で愛娘は今も意識不明、判決待つ父親の苦悩「加害者は無保険、口先では賠償すると言うが…」(2025.4.18)
・娘は改造車の脱落タイヤ直撃で意識戻らず、父独白「加害者2人は罰金刑と執行猶予、あまりに被害と罰のバランスが」(2025.6.10)
不正改造された軽自動車から脱輪したタイヤが、父親と歩道を歩いていた次女を直撃。女の子は頚髄損傷等の重傷を負い、事故発生から3年目となった現在も意識不明のままの状態が続いています。
タイヤが外れる事故を起こした軽乗用車。若本容疑者が運転していた=札幌市西区(写真:共同通信社)
さらに、加害者が任意保険未加入だったため、多額の治療費や介護費用なども支払われる見込みが立たず、家族は二重の苦しみと不安に苛まれているのです。

