2月6日にオマーンで開かれた米国とイランの核協議では、ウィトコフ特使(中央)とジャレット・クシュナー氏(左)が交渉に当たった。右はオマーン外相(提供:Omani Ministry of Foreign Affairs/ロイター/アフロ)
トランプ政権を動かす側近政治
SNSでの突発的な発言、側近の頻繁な更迭、官僚機構との摩擦、そして気候変動政策の急転換や国連協力の縮小、石炭産業の復活を掲げるなど、気まぐれにも見える政策の連発――。
こうした要素が、ドナルド・トランプ米大統領の政治手法を「衝動的」「即興的」と印象づけてきた。
しかし、2期政権の動きを見ると、こうした「気まぐれ」とされた背後に、単なる即興では説明できない側近ネットワークを中心とした意思決定の仕組みが浮かび上がる。
ウクライナ停戦構想をめぐるスティーブ・ウィトコフ特使の動きは、その象徴的な事例ではないだろうか。
ここでは、1期と2期の統治スタイルを比較し、歴史的権力者の側近政治と照らし合わせながら、トランプ2期の利点とリスクを考えたい。
1期政権:カオスの中で進んだ側近の選別
1期政権は、表面的には混乱の連続だった。
第1期トランプ政権では、国家安全保障補佐官(NSA)が異例の速さで交代した。
通常、政権の「頭脳」ともいえるこのポストは、4年間の大統領任期中に1回交代があるかないか程度が一般的だが、トランプ政権ではマイケル・フリン、H・R・マクマスター、ジョン・ボルトン、ロバート・オブライエンと4人が入れ替わった。
その背景にあったのは、トランプ大統領の意思決定スタイルと側近の性格・手法が噛み合わなかったことだ。
フリン氏はロシア問題で辞任し、制度重視の軍人であるマクマスター氏はトランプ大統領と衝突した。
強硬外交を掲げたボルトン氏も、トランプ大統領の「ディール志向」と折り合わず対立を深めた。
最終的に、トランプ大統領の感覚に合わせて動けるオブライエン氏が就任し、ようやく安定した。
この一連の更迭・交代劇は、トランプ大統領が自分のスタイルに合う側近を探す「ふるい分け」の過程だったと言えそうだ。
第1期政権の混乱は、第2期政権で見られる「側近集中型」の意思決定へとつながる布石だったとみることができる。