ブリュッセルにあるNATO本部(2025年3月25日撮影、NATOのサイトより)

米国、NATO司令官ポストを欧州へ移譲

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 米国は、北大西洋条約機構(NATO)の統合軍司令部の2つの主要な司令官ポストを欧州側に引き渡すという。ロイター通信などが伝えた。

 NATO司令部再編の一環として、現在米国の将官が指揮するイタリア・ナポリと米国・バージニア州ノーフォークにあるNATO統合軍司令部の指揮を欧州側が引き継ぐことになる。

 なお、米軍は、(地理別JFC=Joint Force Command=統合軍司令部とは別に)機能別の連合陸・海・空軍司令部の3つの司令部の指揮を執るという。

 このように計画されている指揮権限の変更について、NATO当局者は「同盟国は、NATOの指揮系統全体にわたる新たな責任の配分について合意しており、これによりNATOの最新加盟国を含む欧州同盟国がNATOの軍事指導においてより重要な役割を果たすことになる」と説明した。

 米国のドナルド・トランプ大統領は、2025年11月に策定した「国家安全保障戦略(NSS)」(発表は12月)において、「西半球における米国の優位性を回復する」ことによる米国本土防衛、およびインド太平洋地域における中国との経済的・軍事的競争に重点を置いた。

 欧州には「欧州が自らの防衛の主たる責任を負うことを可能にする」ことを求め、同地域におけるロシアの潜在的脅威に対する戦略的関与は軽視された格好だ。

 また、同戦略を受け、2026年1月23日に発表された「国家防衛戦略(NDS)」では、次のように記されている。

●西半球における緊急の脅威に対処するため、世界的な軍事プレゼンスを再調整する。

●理想的には中国に対する軍事力の優位性を維持することにより台湾をめぐる紛争を抑止する。

●欧州が自らの防衛の主たる責任を負うことを可能にする。

 かねてトランプ大統領は、NATO加盟国に対し国防費をGDP(国内総生産)比5%へ引き上げるよう要求し、応じない国の防衛を拒否する姿勢で欧州に防衛負担増を迫ってきた。

 また、米軍の関与縮小やウクライナ支援に関し欧州主体の安保体制への転換を推進してきた。

 今般の司令官ポストの移譲は、欧州諸国が自国の安全保障にさらなる責任を持つべきだというトランプ大統領の要求に沿ったものと見られる。

 今後、NATO欧州に対し予想される米国の様々な動きは、地域の安全保障・防衛に少なからぬ影響を及ぼすのは必至である。