2月16日から始まる確定申告の相談及び申告書の受付(写真はイメージ、years44/Shutterstock.com)
今年も確定申告が2月16日から始まる。近年、国税庁は税務行政のDXを進め、調査対象の選定にAIやデータ分析を活用している。限られた人員で申告漏れを効率よく見つける狙いは理解できる一方、仕組みの不透明さや“疑われる側”の心理的負担、誤判定が生む権利侵害の懸念も拭えない。AIは何を根拠に「高リスク」を決めるのか。税理士で東洋大学法学部教授の泉絢也氏が解説する。
AI活用で過去最高の調査実績!?
国税庁は令和7年12月、「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」を公表した。これによると、調査官が納税者の自宅や事務所を訪問する「実地調査」の件数は約4万6000件にとどまり、コロナ禍以前の平成30事務年度(約7万3000件)と比べると、依然として低い水準にある。
一方で、文書や電話による「簡易な接触」は約6万8000件と大幅に増加した。コロナ禍で実地調査が制限されていた中で培われた、簡易な接触に関するノウハウが、現在の執行体制に生かされている様子がうかがえる。
こうした調査と接触を合わせた「調査等」の実績をみると、令和6事務年度の追徴税額は1431億円と過去最高を記録した。申告漏れ所得金額や非違件数も高水準にあり、国税庁は「調査選定にAIを活用するなど、効率的かつ的確に調査等を行った結果、『調査等』による追徴税額の総額が過去最高となった」と説明し、AI活用の成果を強調する姿勢を鮮明にしている。
